天よ、聞け、地よ、耳を傾けよ。私は語る。私は子を養い育てた、しかし彼らはわたしにそむいた。アンブラは災いである。ルナの神殿に、聖なる箱(注:1)を納めよ。アンブラはもはやそれを担う必要がないのだから。
~ Marius Barret, Grand Master of Knights Luna (マリユス・バレ、ルナ騎士修道会総長)
マリアは眉と眉の間を人差し指でさするようにしながら盤上の対局をじっと見つめた。 騎士であった父仕込みのマリアのチェスは決してそうひどいものではなかったが、布局は明らかにマリアに不利で、マリアはなぜ王が度々自分をチェスの相手に所望するのかわからなかった。王はかつてかの王とそうしていたように、マリアとチェス盤越しにある時は政治について、またある時は他愛のない会話をすることを好んだ。
「全国の騎士を呼び集めるべく、トリンシックで馬上槍試合が開催されるそうでございます。」
マリアは盤上の程よく飴色に変色したビショップに手を掛け、王が頷いたのを確認して更に続けた。
「国王陛下、ルナは異端なのでありましょうか?」
王は親子ほども年の違う、そばかすよりもあどけなさが濃く残る金髪の娘を一瞬だけ観察すると、盤上に視線を戻して答えた。
「マリア、かつて師クレイニン(注:2)はマラスを暗黒の結晶面、すなわちダークファセットと呼んだ。マラスは闇に覆われた、明らかに他とは違うファセットなのだよ。」
マリアは少し逡巡した後、再び口を開いた。
「存じ上げております。陛下。師クレイニンは、マラスを包む巨大な影はモンディンの悪意であり、その世界は悪しき者の支配下にあるとすら断じているのです。しかし……。」
マリアは盤上のビショップを、意を決したように進めた。
「ブリタニアの経済がルナを必要とするほど破たんしているように私には思えないのです。陛下は例えそれがどんなに潤沢であっても、ニューマジンシアからの税収はニューマジンシアの民を救うためにお使いになるでしょう。」
王は何のためらいもなく、盤上でルークを進めると答えた。
「その通りだよ。マリア。王のものは王に、民のものは民に返すべきだ。」
マリアが息を飲んだその時、王の朗らかな声が部屋に響いた。
「チェックメイト!」
(注:1) ルナ外壁の北東の角の部屋(Vault of Secrets)で保管されている二つの箱のことと思われる。 (注:2) クレイニン(Clainin)著 シャードの観測より。 参考: ウルティマ オンライン日本公式ウェブサイト“ダーク・ファセット”
日時:8月17日(土)夜9時より受付開始(参加人数によって予選実施)、夜10時より開会式 場所:トリンシック南東の港手前の広場(六分儀座標:110o 49'S, 50o 3'E) ※ 当日、ニジェルムEMホールからゲートを設置します。 ブリタニア全土に離散した騎士を再び集結させるべく騎士の街トリンシックで馬上槍試合が行われます。 見学のみの方も大歓迎です。 円滑なイベント進行のため、皆さまのご協力をお願い致します。
● 参加資格 下記条件を満たしたうえでお越しください。 - ランスと盾を装備し、SPM“ディスマウント”を使用できる状態であること。 - エセリアル以外の騎乗動物に乗っていること ※ガーゴイルの方は参加できません。 - 試合当日、専用ギルドに加入できること。
● 参加方法 事前登録は必要ありません。当日会場で参加受付を致します。
● 試合手順 1. 試合はすべて一本勝負となります。 2. 選手は騎乗して位置につき、ディスマウントをセットします。 3. 審判の合図で両者が激突します。 4. 相手を落馬させた選手が勝利します。 5. 双方が落馬した場合のみ再戦となります。