とあるクマの姉弟の話(イベント)

王室広報官です。

今回は、くま子さんからの依頼です。

行方不明になってしまった、弟を探したいので手伝って欲しいとのことです。

**********************************************************************************************
◆開催日時:2月22(水)  
22時00分 
◆集合場所:ブリテイン広場
**********************************************************************************************
注意事項:
◆ 当日はチャットチャンネルへお入りください。
24th LIVE

◆ 戦闘準備の上、お越しください。
◆ 予期せぬ出来事が発生するかも知れません!貴重品はなるべく持ち込まないよう、お願いします。
◆ 以下に該当の場合、あるいはEMが問題ありと判断した場合はコールのうえ、イベント中止の措置を取らせていただく場合があります。
 - イベント進行の妨害、かく乱行為。
 - EM、あるいはほかのプレーヤーに対する侮辱的発言、またはそれに準ずる行為。
◆ 皆さんのイベントです。マナーを守って楽しく参加しましょう!

**********************************************************************************************

とあるクマの姉弟のはなし

~プロローグ~

トリンシックの森の奥、鬱蒼と生い茂った木々の間の細い道を二匹のクマが走っていた。

立ち込める霧を振り払うように懸命に手足を動かしながら先を行くクマが人語を発す。

「もっと急ぐのよ!捕まったら何をされるか分からない」

成獣と比べ、やや幼さの残る小柄なクマ、毛並みは茶色であった。

「まって、ねーちゃん!」

少し離れて、走るのは幼い熊だ。前をゆくクマと同じブラウンの毛並みである。

二匹は、まだまだ親の庇護を受けなければならない姉弟であった。

そんな姉弟へ、馬に乗った男たちが迫る。

「逃げても無駄だ!」

怒気をはらんだ声を聞いた姉クマは、一瞬振り返る。

フードをまとった人間たち。深く被った奥の暗闇から、3つの粘り付くような視線を感じる。

それは獣といっても過言ではない。追われれば、成獣ではない姉弟は逃げるしかない。

ちなみに、この男たちは密猟者だ。

珍しい生き物や、狩ることが禁じられている動物や危険な魔物の売買専門としている裏世界の住民である。

今回は人の言葉を話せる珍しいクマを捕らえようとしている。

そんな姉弟と密猟者との追走激は呆気なく終わりを迎えた。

「痛いクマー!」

弟クマが地面の凹凸に足を取られて転んでしまったのである。

「ちょっと大丈夫?きゃー!」

急ぎ戻ってきた姉クマだったが、後ろ足に走った痛みに悲鳴を上げる。

足をみるとナイフが刺さっていた。密猟者が投げたのだろう。

「やっと捕まえたぞ、すばしっこいクマめ」
「殺すんじゃないぞ」

密猟者たちは姉弟を捕らえるため縄を準備し始めたその刹那、

あたりを眩い光りが包むと同時にクマ達は姿を消した。

「今の光はなんだ」
「あいつらどこへ行ったんだ!」

密猟者たちはイラついた様子であたりを調べようとしたが体に異変を感じた。

「おい、なんか体がだるくないか?憂鬱だ」
「今すぐ帰って眠りにつきたい気分だぞ・・・」

疲労感、倦怠感に襲われた彼らは、簡単に調べただけで、早々に立ち去って行った。

----

~1話 予期せぬ遭遇~

 

時を同じくして、トリンシックの森をひとりの女性が何かを探すように歩いていた。

その容姿は美しく、透き通るような白い肌に金色の瞳、最大の特徴は尖がった耳である。

彼女はエルフ族に似た姿をしていたが、真の正体を知る者は少ない。

名前は???。彼女を知る者はハテナさんと呼んでいる。

彼女は本名を隠している。

それを知った者は婚期を逃すといった呪いのような苦しみ味わうからだ。

ちなみに、表向きの職業は占い師だが、魔法に精通しており、上級魔術師といったほうがしっくりくる。

彼女しか使えない、独自の魔法がいくつかあり、冒険者の魂の一部を使ったものは強力である。


そして今日は新しい魔法を作るための素材を探しに森を訪れていた。

そんな彼女の前方を二匹の子クマが必死に走り抜け、ローブ姿の者たちが馬で追っていた。

それが密猟者であることは直ぐにわかる。

???が視線を戻すと幼いクマ転んだようで、密猟者が追いついていた。

彼らはナイフを取り出し、心配して戻ってきたクマに向け投る。

「これはマズイわね・・・、なんとかしないと」

???は動物好きである。

目の前で危機に瀕している子クマたちを見捨てることはできない。

かといって、密猟者の前に出て堂々と助けることもた躊躇われた。

「仕方ないわね。あれを試してみるか」


???は、ターゲットをランダムに飛ばす、リコールに似た魔法を使い子クマたちを助けることにしたのだ。

ただ、この魔法は完成しておらず、問題点は目的地が定まらない。

そして、移動先で元の姿に戻すためのスペルが確立されていなかった。

故に大きな町に、魔物の姿で登場する危険もはらんでいたのである。

「まぁ大丈夫かしらね。いまのところ魔物の姿になったケースは少ないし・・・」

???は急ぎ詠唱すると、密猟者たちの魂を多く使いクマ達を移動させたのであった。

「あのクマ達無事だといいのだけど・・・。ちょっと探してみようかしら?」


----

~2話 気がつけば人間に?~

 

後ろ足にナイフが刺さり、弟が密猟者に捕まりかけた瞬間

「誰か私たちを助けて!もう家族を失いたくないよ」

姉弟の親たちは、密猟者に捕まってどこかに連れていかれたのだった。

おそらく人とコミュニケーションが取れたことが原因で、珍しい生物として捕まったのだろう。

姉クマが必死に祈った瞬間、予想外の現象が起り始めた。

目の前が淡い光につつまれ、自身の体が光の粒に変わっていくのだ。

その様子を見ているうちに意識を手放してしまった。

--

時間がどれくらい経過したのだろうか

ゆっくりと瞼を開くと、見慣れない光景が広がっていた。

「おや、気づいたようだね」

女性の声だろうか?とてもやさしい音色が聞こえる。

視線をうつすと、心配そうな表情の人間が見えた。

なぜ人間が?と思った瞬間、数刻前だったはずの出来事を思い出す。そして、

「そうだ、あたし馬に乗った人間に捕まったんだ・・・。お、、、とうと。弟はどこ?」

「あんた、弟がいたのかい?」

会話が成立した。

少し驚いたが、人間と会話したことは以前もあった。

しかし、おかしな点がいくつものあることに姉クマは気づく。同時に違和感を覚える。

ブラウンの毛に覆われた前足はスベスベ肌に、そして手の形が爪も含めて変わっている。

傷を負ってるはずの後ろ足からも痛みがない。

いつもはうつ伏せで寝ているのに、瞼を開いた時は何故か仰向けで天を見ていた。

腹をだして寝るなんてありえない・・・

違和感だらけで体を起こすと、いつもと動きが全く違い、寝床から転げ落ちてしまった。

視界には、以前とは違い人間の服を纏った体が見える。

「あれ、あたし人間の体になっている?」

「何を言ってるの大丈夫かい?まだ寝てた方がいいんじゃないかい」

再び優しく声が耳に届く。

「弟を探さないといけないの!」

姉クマは人間の体に戸惑いながらも、なんとか立ち上ると女性が口を開く。

「あなたは、熊マスクを被って裸の状態で森で倒れていたのよ。盗賊にでも襲われたのかい?」

何が起こったのか考えたが。あの光が原因に違いない。何か魔法の類だろうけど・・・

いや、いまはそんなことを考えるより弟を探すことが先決だ。まずは場所を確認しないと・・・

「あの、ここはどこなのでしょう?あたしは弟を探さないといけないの」

姉クマは、女性に尋ねた後、二足歩行になれるため2日ほど女性の家で体を慣らし、弟を探しにいくのであった。