【全日本シャード】10月のイベント予定

平素はEMプログラムへのご理解とご協力ありがとうございます。
10月のイベント予定をお知らせします。

10月3日(土)
・22:00~ 瑞穂シャード / ミニイベント (未定)

10月4日(日)
・22:00~ 桜シャード / ミニイベント (未定)

10月10日(土)
・21:00~ 無限・飛鳥シャード / イベント (未定)

10月12日(月/祝)
・22:00~ 北斗シャード / ミニイベント (未定)

10月18日(日)
・21:00~ 出雲・桜シャード / イベント (未定)

10月24日(土)
・22:00~ 飛鳥シャード / ミニイベント (未定)
・21:30~ 瑞穂・倭国シャード / イベント (未定)

10月25日(日)
・22:00~ 桜シャード評議会
・22:00~ 瑞穂シャード評議会

10月26日(月)
・22:00~ 大和シャード / イベント (仮日程)

10月28日(水)
・22:00~ 北斗シャード / イベント (仮日程)

森の結界を修復しよう(イベント)

10/2イベント当日のセリフを掲載しました

広報官のリシオです。

今回は、喫茶シャンピニョンの店主、フンギさんからの依頼となります。

ユーの森に異常な酷暑をもたらしていた原因は去り、熱波そのものは収束へと向かっています。

 

しかし、一度熱を持ってしまった森の空気は、そう簡単には元に戻りません。


現在、森には深刻な問題が起きています。

 

森を害獣から守る『結界』を維持してきた精霊たちが、滞留する熱に当てられて衰弱しきっているのです。

 

彼らは非常に暑さに弱く、力を取り戻すためには、早急に森全体の温度を下げる必要があります。

 

そこで事態を解決するカギとなるのが、強力な冷却効果を持つ『冷茸(ひやだけ)の原種』です。

 

これは現在森に生えているものより遥かに強い力を秘めており、森へ移植できれば確実な温度低下が見込めます。

 

精霊たちの命を救い、森の平和を守る結界を回復させるために、冒険者の皆さまの力が必要です。

 

どうか、よろしくお願いいたします!


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◆開催日時:9月23日(水)21:30~  
◆集合場所:Britain広場

※集合場所付近はリコールできないようになりますのでご注意ください。

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注意事項:
◆ 予期せぬ出来事が発生するかも知れません!貴重品はなるべく持ち込まないよう、お願いします。
◆ 以下に該当の場合、あるいはEMが問題ありと判断した場合はコールのうえ、イベント中止の措置を取らせていただく場合があります。
 - イベント進行の妨害、かく乱行為。
 - EM、あるいはほかのプレーヤーに対する侮辱的発言、またはそれに準ずる行為。
◆ 皆さんのイベントです。マナーを守って楽しく参加しましょう!

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プロローグ

 

 王立広報室の室長、ネコマタコ。

 

 彼女の休日のルーティンには、ユーの森にひっそりと佇む喫茶シャンピニョンでのくつろぎの時間が含まれている。


 カランカラーン。

 

 涼やかな鐘の音を響かせて扉を開けると、店主の爽やかな声が出迎えてくれた。

 


「あら、マタコさん。いらっしゃいませ」

 

「こんにちは、フンギさん。今日もお勧めのお茶をお願いするにゃ」

 

 

 店内の奥の席に視線を向けると、常連のミニオン君とミニオンちゃんが何やら熱心に話し合っている。

 


「今年の鍋はギャップが欲しいミニ……」

 


 大きなキノコを齧りながら、なにやら持論を展開するミニオン君。

 


(ミニオン君たちは、もう秋の鍋祭りの相談かにゃ)

 


 心の中で思いつつ、室長はいつもの指定席へ腰を下ろし、出されたお水に手を伸ばす。


 グラスには水滴が結露しており、きりっと冷えていることがわかる。

 

 ここで供されるお水は、檸檬に似た風味の茸を水出しした特製で、一口飲むと思わず「にゃ〜……」と声が漏れるほど爽やかだ。


 すっかりリラックスした様子の室長を見て、フンギが優しく微笑みかける。

 


「今週もお忙しかったのですか?」

 

「そうだにゃ。ユーの熱波は、結局宇宙人が原因で……」

 


 室長は、熱波騒動の顛末をフンギに語って聞かせた。

 


「あの暑さは異常でしたね。まさか宇宙人が原因だったとは……。この森は冷茸のお陰で影響は最低限で済みましたけど」

 


 その言葉の直後、フンギの表情が一瞬だけサッと曇ったように室長には見えた。

 


「お待たせしました。オンセットオータムティーです」

 


 秋暁茸をベースに、この時期ならではの素材を数種類ブレンドしたという、やたらと長い名前のキノコティー。


 一口含むと、心地よく胃を刺激する食欲の秋に相応しい味わいが広がり、香りは深く落ち着いていた。

 


「こちらは本日の茶菓子です」

 


 フンギが小皿で出してきたのは、可愛らしいキノコの形をしたクッキー。

 

 サクサクの生地もさることながら、表面にまぶされたパウダーが絶妙な風味を醸し出しており、実のところ室長の大好物でもあった。

 


「待ってましたにゃ! これがティーと最高にマッチするにゃ。買って帰れないのが残念だにゃ」


「ふふ、数が少ないのでご容赦を」

 

「それにしても、この魔法のパウダーの正体がずっと気になってるにゃ」

 

「ああ、それは旨味茸と香味茸の胞子から作ってるんですよ。他にも隠し味はありますけどね」

 


 フンギは悪戯っぽくウインクする。それを聞いた室長は、「ほ、胞子!?」とむせて激しく咳き込んでしまった。

 


「クッキーに胞子とか反則だにゃ! ハハハッ!」

 


 どうやらツボに入ってしまったらしい。

 

 真面目に答えたつもりのフンギは、何がおかしいのか分からない様子で不思議そうに首を傾げていた。


 ややあって笑い疲れ、落ち着きを取り戻した室長は、オータムティーで喉を潤してから、先ほどから気になっていたことを尋ねてみることにした。

 


「フンギさん。さっきから、ふとした瞬間に浮かない表情をしてるけど……何かあったにゃ?」

 


 図星を突かれ、フンギは少しだけ驚いたように目を丸くした。

 


「あら、顔に出ちゃっていましたか。……失礼しました」

 


 そう言って、フンギは重い口を開き、胸に抱えていた悩み事を室長に話し始めた。


◇◇◇


 フンギは、ユーの森に自生する茸たちを守護するキノコの妖精である。人前ではエルフに擬態している。


 八月の記録的な熱波により、森の外縁部では森林火災などの深刻な被害が出たものの、彼女たちが管理する中心エリアは、冷茸(ひやたけ)の恩恵により、辛くも最小限の被害に留められていた。


 しかし、完全に無傷というわけではない。

 

 多くのキノコが熱気に当てられ、地中の菌糸こそ無事なものの、地上に顔を出す子実体(いわゆるキノコの部分)が再び育つには時間を要するという。


 だが、それ以上に深刻な問題があった。

 森を害獣から守っている不可視の結界の弱体化である。

 


「この結界は緑の魔女様が作り上げ、森に住まう精霊たちが力を合わせて維持してくれています。しかし、先月の熱波から森を守るために、彼らは力を使い果たしてしまったのです」

 


 結界の綻びに気づいた獰猛な野生のミニオンたちが、森へ侵入し始めているらしい。

 知性を有するミニオン君の種族は、森の生態系を理解しているため乱獲はしない。

 

 彼らも事態を重く見て、野生の同族たちがキノコに手を出さないよう、説得と懐柔を兼ねた鍋祭りを画策してくれているそうだ。

 


「ミニオン君が熱弁していた理由は、それだったのにゃ」

「そのようですね」

 


 室長が視線を向けると、当のミニオン君は満腹になったのか無防備に居眠りをし、対面に座るミニオンちゃんが呆れ顔をついていた。相変わらずオンオフの激しいヤツである。

 


「キノコを守るには、結界の力を元に戻すのが最善策にゃ?」

「はい。暑さに弱い精霊たちが力を取り戻すには、冷茸の力が必要です」

 


 フンギは話を続ける。

 

 現在森に生えている冷茸は、彼女たちが群生地から苦労して移植し、大木の陰で育ててきたものだ。


 しかし、今回の熱波でそれらもすっかり暑さ疲れを起こし、本来のパフォーマンスを発揮できずにいる。

 


「事態を解決するには、冷茸の元来の生息地に生える強力な原種を森へ移植する必要があるのです」

 

「なるほどにゃ。それが、入手困難とか?」

 


 フンギは力なく頷いた。

 原種が自生する洞窟には、意地悪な大地の魔女が居座っており、中へ入れてくれないのだという。


 緑の魔女に相談しても、ワルプルギスの取り決め(魔女たちの約束ごと)があるらしく、手出しができない状態だ。

 


「当店には、魔女グリゼルダ様もいらっしゃるのですが、やはり同じ答えでした」

 

「えっ。あの美白研究家も来るにゃ!?」

 

「はい。お肌を整える特別なキノコティーがありますので、それを定期的に買いに来られますね」

 


 森の危機という深刻な話から一転。目を輝かせた室長は、結界のことなどそっちのけで「お肌を整えるキノコ」をフンギに聞き出し、ちゃっかりと自分用に買って帰るのだった。

 

 もちろん、フンギの悩みを解決すべく、ことの詳細はしっかりと聞いている。


◇◇◇


 翌日。

 フンギからあらかじめ洞窟の場所を聞き出していた室長は、「占いの出張依頼がある」と適当な口実を作り、ハテナを護衛代わりに連れ立って件の洞窟を訪れていた。


 鬱蒼とした森を抜けた先。その洞窟の入り口には、大地の魔女と思われる女性が、行く手を阻むように立ちはだかっている。

 


「みゃーは王立広報室のネコマタコだにゃ。こっちは凄腕占い師のハテナ。魔女さんに折り入って話があるにゃ」


「おい。そっちのエルフ、絶対占い師じゃないだろ。底知れぬ邪悪な気配を感じるぞ」

 


 大地の魔女はハテナを指さし、警戒感を露わにして睨みつけた。

 


「邪悪とは失礼ね。出張占いをお願いしたい人がいると聞いたから、わざわざ来てあげたのだけど……。どういうこと、マタコ?」

 


 今度はハテナが室長をジロリと睨みつける。室長は申し訳なさそうな表情で、事の顛末と本当の目的を話す。

 

 事情を聞いて最初に反応したのは魔女だった。

 


「なるほどね。だが、ここを通す訳にはいかんよ。先日も喫茶店をしている妖精やミニオン君と名乗る魔物が来たが、帰ってもらった」


「あら。なぜ頑なに誰も入れないのかしら? 回答次第では、実力行使も辞さないけれど?」

 


 ハテナは指先に漆黒の空間の歪みを生み出し、冷酷に威嚇する。圧倒的な実力差を肌で感じ、顔を引きつらせる魔女。


 それでも彼女は勇気を振り絞り、「力で来るなら僕は相応の抵抗をする!」とハテナを睨み返した。

 

 洞窟への立ち入りを拒む、尋常ではない覚悟を見た室長が間に割って入る。

 


「何があなたをそこまでさせるのか教えて欲しいにゃ。みゃー達ならきっと力になれるにゃ」

 


 その言葉に腕を組み黙考した魔女は、やがて重い口を開いた。

 


「……僕は大地の魔女テラ・ヤーガ。地中を流れる気脈の調整を担っている。実は今、この洞窟の奥にカピバラが居座っているんだよ」

 

 
 カピバラという言葉に驚く室長とハテナを余所に、魔女は説明を続ける。

 

 彼女によると、見た目こそ愛らしいカピバラだが、中身は得体の知れない魔獣らしい。「あんたと同じだよ」とハテナを指差して魔女は言う。

 


 きっかけは数日前。

 

 気脈の異変を察知した魔女が洞窟の奥へ様子を見に行くと、そこにはカピバラの姿をした得体の知れない魔獣がくつろいでいた。


 魔女が何者かと問い詰めると、魔獣はこう言って脅してきたという。

 


『ここを荒らされたくなければ、俺様の言うこと聞くばら』

 


 当時を思い出したのか、魔女は悔しげに顔を歪め、悲痛な表情を見せる。

 


「あれの恐ろしいところは、大地の気脈を乱し、貴重な冷茸の群生地を一瞬で破壊する力を持っていることだ」

 


 その目的は不明だが、魔獣が要求してきたのは、洞窟に誰も入らないようにすること。

 

 森の命綱とも言える冷茸を完全に人質に取られてしまったため、魔女は屈辱に耐えながら要求を呑み、入口の門番をさせられていたのである。

 


「そんなの、この占い師の力で一息に吹き飛ばせば簡単だにゃ」

 

「そこのエルフが規格外なのは分かるが、その力ゆえに無理に踏み込めば、即座に魔獣に感知されて冷茸が全滅してしまうかもしれん」

 


 先ほどまでの威圧的な態度はすっかり鳴りを潜め、魔女はすがるような、助けを乞う視線をハテナに向けた。
 

「むう。冷茸を盾にするとは、随分と卑怯な魔獣ね。……となると、単なる力押しは愚策ね。やはり冒険者の出番かしら。……あ、そうだわ」

 


 ハテナは何かを閃いたようにポンと手を打つ。

 


「何か良い策でも思いついたにゃ?」

「ええ。広域隠蔽のオーブよ」

 


 自信満々に頷くハテナ。

 どれほど術で姿を隠そうとも、ハテナ自身が持つ規格外の魔力までは完全に抑え込むことができない。


 相手が気脈の変化に敏感な魔獣であれば、そのわずかな魔力の揺らぎから侵入者に気づく可能性がある。冷茸という人質がある以上、そのようなリスクは絶対に冒せなかった。


 しかし、ハテナほどの強大な魔力を持たない冒険者たちが、そのオーブの力を借りて気配を絶てばどうだろうか。あの魔獣にも一切悟られることなく、密かに接近できる可能性が極めて高いという。


 そして、優秀なオーブの持ち主は一匹のドラゴンだ。

 


「オーブ?それって、もしかして先月ウインドの奥にいたドラゴンが持ってるやつかにゃ?」

 

「そうよ。あの酷い臭いの賢者の石を抱え込んでいた奴よ。今はイルシェナーの山間部に引っ越しているわ」

 


 ハテナの情報網は恐ろしく、一度縁ができるとその後の動向もある程度把握できるらしい。

 


「イルシェナー……、また遠い場所に引っ越したにゃ」

 


 黙って聞いていた魔女が、不安そうな顔を向ける。

 


「その作戦は本当にうまくいくのだろうか? 失敗すれば、気脈も冷茸もどうなるか……」

 


 しかし、ハテナの表情は絶対的な自信に満ち溢れていた。

 


「占いの結果は大成功と出ているわ」

 


 失敗などあり得ない。そう断言すると、ハテナはバックパックから水晶玉を取り出し、手頃な平たい岩の上にトンと置いた。

 


「さあ、ハテナ先生の占いが始まるにゃ」

 


 室長が言い終えると、岩に置かれた水晶玉が淡く光り、その奥にぼんやりと映像が浮かび始めた。


 息を呑んで覗き込む三人の視線が集まる先に、個性的な顔つきのドラゴンがうっすらと映し出される。

 


「このマヌケな面……リシオの報告にあったドラゴンに違いないにゃ」

 


 リシオの作成した報告書にあった特徴と瓜二つである。

 水晶に映るドラゴンは、仰向けに姿勢を変え、すっかりリラックスしきっている様子だった。


 新たに集めたであろう手頃な丸い石を、太い尾を使って器用に地面と背中の間に挟み込み、ゴリゴリと動かして背中の凝りをほぐしているように見える。


 さらに。


「……今度は、前足で鼻をほじっているにゃ」

 

「だらしなくて、本当に汚いドラゴンね。賢者の石があんなに酷い悪臭だったのも納得だわ」

 

「なんとも情けない、だらしないドラゴンだ」

 


 まるで汚物でも見るような冷ややかな視線で、水晶を見下ろす三人。

 見事に声と心を一つにして、遠く離れたドラゴンのダメ出しをした。

 


「ま、今回の私は居場所を特定するだけで、これ以上は関わらないわよ」

 

「みゃーも、広報室の激務があるから流石に行けないにゃあ」

 


 ふいっ、と水晶から視線を外したハテナと室長。

 その二人の視線が、ゆっくりと魔女へと向かう。

 


「えっ? ぼ、僕は、この洞窟を見張る門番の仕事があるから絶対無理だよ!」

 


 ここにいる三人は誰一人として、あの不潔なドラゴンの元へなど行きたくなかった。


 気まずい沈黙が流れる。

 ややあって、最初に口を開いたのは室長であった。

 


「そうだ。フンギさんに行ってもらうにゃ」

 

「そうね。彼女は依頼主のようなものだもの」

 

「あの妖精なら適任だと僕も思うよ」

 

 

 満場一致。

 かくして、三人が心優しいフンギにすべてを押し付けることで完全に同意した瞬間であった。


◇◇◇


 ここは、ブリテインにある王立広報室、二階の応接ブース。

 

 室長に連れられてやってきた喫茶シャンピニョンの店主、フンギが机に向かって依頼書にさらさらと記入をしている。

 


「フンギさん、最後にこちらへサインをお願いします」

 


 リシオが書類の末尾を指し示すと、フンギはコクリと頷いてペンを滑らせた。

 


「リシオたん、今回は依頼主であるフンギさん自身が現地へアテンドするにゃ」

 

「承知しました。室長も、こちらの担当者欄にサインをお願いします」

 

「分かってるにゃ」

 


 室長もフンギに続いてサインを書き込む。

 これで、冒険者へ向けた正式なクエストの手続きは完了である。

 


「ありがとうございます、リシオさん」

 


 フンギはふわりと妖艶な笑みを浮かべ、リシオに丁寧に会釈した。

 その瞬間、リシオは思わず心を奪われてしまった。

 


(フンギさんの美しさは噂には聞いていたけれど……これほどとは)

 


 生真面目なリシオが、うっとりと見とれてしまうのも無理はない。


 フンギの真の姿は妖精。

 

 人前ではエルフに擬態しているとはいえ、妖精由来の透き通るような白磁の肌に、神秘的な極彩色の瞳を持っている。


 まさに「人ならざる美しさ」という言葉が相応しい容姿であった。

 彼女たちは、ユーの森を害獣から守る役割を担っている。

 

 森へ侵入してくる獣は大半がオスであるため、彼らを幻惑し惹きつけるべく、同性でさえ思わず見とれてしまうほどの圧倒的な魅力を備え持っているのだ。

 


「こら、リシオ! 鼻の下をだらしなく伸ばしてるんじゃないにゃ!」


「はっ!?」鋭い声に、リシオはビクンと肩を震わせて我に返る。

 


 無意識のうちに妖精の魅力にあてられ、魅了されかけていた部下に気づき、室長がすかさずツッコミを入れたのだ。

 


「まだまだ精神の修行が足りないにゃ~、リシオたん」

「……面目ないです」

 


 ジト目で見つめてくる室長からの呆れた視線に、リシオは恥ずかしさからポリポリと頭を掻いた。

 


「ふふっ。ごめんなさいね、リシオさん。悪気はないのだけど」

 

「い、いえいえ! こちらこそお恥ずかしいところを。それでは、僕は手続きを進めますので……」

 


 フンギのくすくすという可憐な笑い声に赤面したリシオは、慌てて席を立ち、逃げるように一階へと降りていった。

 


 二階の応接ブースに残された、室長とフンギ。

 

 リシオの慌ただしい足音が下へと遠ざかったのを確認すると、フンギはすっと真剣な表情に戻った。

 


「マタコさん。最終確認ですが、私が直々にアテンドを行い、冒険者の皆さまと一緒にオーブを手に入れればいいのですね?」

 

「見事オーブを回収できた後は、例の洞窟へ向かい、オーブの力でパーティー全員の気配を完全に消してから、奥に居座るカピバラの元へ一気に乗り込むにゃ」

 


 入り口を塞いでいる大地の魔女には、既にみゃーからきっちり話を通してあるにゃ、と室長が頼もしく太鼓判を押し、この日の作戦会議は無事にお開きとなった。


 作戦の全貌は固まった。

 

 あとは、冒険者ギルドを通じて、腕に覚えのある者たちへ向けたクエストの告知を行うだけであった。

 

後日イベント当日のセリフを掲載します

●スタート:ブリ広場

(Fungi)
! 皆さん
! お集まりくださいましてありがとうございます

! 喫茶シャンピニョンの店主、フンギと申します
! どうぞよろしくお願いします
! 本日、皆様にお願いしたいのは、ユーの近くの洞窟に居座る
! カピバラの姿をした謎の魔獣に洞窟からの退去を促すお手伝いです
! 8月は皆さんもご存知かと思いますが、ユーは熱波に襲われ森も影響を受けました
! 幸い、私たちが管理している地域については、冷茸や精霊たちの頑張りのおかげで
! 致命的な被害は免れました

! しかし、ミニオンなどの害獣から森を守るための結界が
! 精霊の力が弱ってしまったために、低下してしています
! 熱波は去りましたが、暖まった空気は簡単には下がりません
! 暑さが苦手な精霊達の体力は回復が遅く
! 害獣に森が荒される可能性が高まります

! 森を守るには、温度を下げる必要があります。
! そこでポイントになるのは、冷茸の原種の移植です
! 原種は洞窟の奥深くに自生しているのですが
! 先程も説明したカピバラの姿をした魔獣が居座り
! 洞窟の入口は大地の魔女テラヤーガが門番をしており、中に入れてくれません
! 魔女ついては、道中でお話しします
! まず、入手しないといけないのは、広域隠蔽の効果をもつオーブの入手です
! これは、カピバラに近づくために必要なアイテムになります

! オーブは体臭のきついドラゴンさんが持っていて
! 皆さんが先月会っている個体と聞いております
! ドラゴンさんは引っ越したそうなので、今からそこに向かい
! オーブを譲ってもらおうと思います

! この後、ゲートを出して移動しますが
! その前にチャットチャンネルにお入りください

! Hokuto EM Eventです

, 本日はよろしくお願いします

! それでは移動しましょう


●イルシェナーの山間部~ダンジョン

(Funghi)
! ここが、ドラゴンさんが住んでいる場所と聞いてます。
! 誰も入れないように、入口を隠しているようですね
! ハテナさんから教えてもらった蹴りで破砕しますので、ご注意ください

※爆破する(ポーション使用)

! 先に進みましょう

※モンスターを倒しながら進む

●ドラゴン生息場所

(Fungi)
! あれが、ドラゴンさんに間違いなさそうですね。
! 少し臭いますね・・・

(ドラゴン)
! お前ら、また来たのか!
! ひっそりと暮らしたかったから引っ越したのに。
! 入口も岩で塞いでいたのに!

(Fungi)
! あれは蹴って破砕しました。爆発と変わりません

(ドラゴン)
! 人の家の玄関を爆破って、お前ら正気か?

(Fungi)
! それで、私たちは隠蔽のオーブを探しています
! そこにあると思うので、いただいていきますね

(ドラゴン)
! おい、ひとの話を聞けよ!妖精!!
! そらはエックスという行商人から、賢者の石と交換して手に入れたものだ
! 貴重な石を簡単に渡せないぞ

(Fungi)
! その貴重な賢者の石で鼻をほじったり
! 臭い足裏のツボを刺激するのに使っていたのはどなた?
! 前回、冒険者の皆さんが訪れて初めて価値に気づいたのでは??

(ドラゴン)
! ぐぬぬぬ。どこでその情報を・・・。仕方ない
! 今日も運動に付き合ってくれたら、持っていっていいぞ

(Fungi)
! なんて、お心のお優しいドラゴンさんなのかしら
! お礼と言ってはなんですが、体臭を改善するキノコティーの茶葉を差し上げます

(ドラゴン)
! 俺って、そんなに臭いのか?
 
(Fungi)
! それはもう、かなりの悪臭ですね
! 牛乳のしみ込んだ雑巾といったところでしょうか

※冒険者を数名引き寄せ

! さらにいうと、この方たちよりもキツイです

(ドラゴン)
! そうなのか・・・。かなりショックだぞ

(Fungi)
! それも、控えめに言って・・・、です
! 消毒とお風呂に入ることを強くお薦めします

(ドラゴン)
! 善処する・・・
! さて、気を取り直して、みんな運動の時間だ!

※ドラゴンと運動

(Fungi)
! 皆さんのおかげで、オーブを入手できました。
! ドラコンさんも気絶するまで運動できたようですし、ウインウインですね

! 次は、本命の冷茸を入手しに行きましょう
! 先ほども説明しましたが、冷茸は洞窟の奥に自生しており
! 目的は不明ですが、カピバラの姿をした魔獣が居座っているそうです

! そして、洞窟の入口には
! 大地の魔女、テラ・ヤーガが門番をしていると聞いてます

! 彼女は地底のエネルギーの流れである気脈の管理を担っており
! カピバラが洞窟に居座り始めた時
! 気脈の変化をいち早く察知し、調査をしたそうです
! そして、奥でくつろいでいるカピバラを発見し質問をします

! 「あなたは何者?何をしているの??」

! その答えは

! 「ここを荒らされたくなければ、俺様の言うこと聞くばら」

! カピバラの恐ろしいところは見た目に反して
! 気脈を乱し、貴重な冷茸の群生地を一瞬で破壊する力を持っていること
! 魔獣が要求してきたのは、洞窟に誰も入らないようにすること
! 森の命綱とも言える冷茸を完全に人質に取られてしまったため
! 魔女は屈辱に耐えながら要求を呑み、入口の門番をさせられているのです

! マタコさんとハテナさんが魔女テラ・ヤーガに話を通しているそうです
! 私たちが行けば、入口を通してくれると聞いています
! それではゲートを出すので移動するとしましょう


●カピバラの住処

(Fungi)
! 皆さん、揃いましたか?
! あなたが、大地の魔女さんですか?

(テラ)
! そうだ。僕が大地の魔女テラ、ヤーガだよ

(Fungi)
! マタコさんから、紹介されて来ました。

(テラ)
! 聞いている。広域隠蔽のオーブは持ってきた?

(Fungi)
! はい。手に入れました

(テラ)
! オッケー。先にオーブを使って欲しい。効果が確認できれば入口を開けるよ


※エフェクトが発生してフンギ以外隠蔽された設定

(Fungi)
! これで準備は万全です

(テラ)
! 確かに、完璧な隠蔽だ。予想以上だよ

(Fungi)
! それでは、通してもらいますね

(テラ)
! 気を付けてね。冷茸をよろしく頼んだよ


●カピバラ

(Fungi)
もふもふ
よーしよしよし

! 皆さんは静かにしててください
! 私が話しかけます、合図したら姿を見せてください
! 今は隠れている状態ですからね!
! カピバラさんには私しか見えていません
! カピバラさん、私はフンギと申します

(カピバラ)
! なんだ、ひ弱な妖精か
! 何か俺様に用事ばら?

(Fungi)
! はい。ここは貴重な冷茸の群生地です
! 私たちは冷茸を必要としています
! 冷茸保護のために、この地から移動していただけないでしょうか?

(カピバラ)
! 外は暑いじゃないか
! ここは快適なんだ。動きたくない
! 冷たいキノコを齧って、のんびり過ごしたい
! 働きたくないばら

(Fungi)
! どうしても駄目でしょうか?
! 森の将来がかかっているのです

(カピバラ)
! くどいばら
! 妖精一匹で何ができると?
! それに、あの魔女め仕事をさぼったな
! あとでお仕置きばら

(Fungi)
! 残念です
! みなさん、姿をみせてください

(カピバラ)
! おいこら妖精
! よくも俺様を騙したな!
! こんな大勢の冒険者相手して勝てるわけがないばら!!

(Fungi)
! 早く移動することをお勧めします

(カピバラ)
! ここで引いたら、魔人の名折れ
! アニキを呼んでお前たちを退治してやるばら

(Fungi)
! あなたの正体は魔人だったのですね

(カピバラ)
! しまった。正体をばらしてしまったばら
! ここは狭いから、広いところへ移動してアニキに始末されろ

(Fungi)
! 望むところです!

(カピバラ)
! 奇跡が起き、お前たちが生き残れたら、移動してやる
! それじゃゲートを出すばら


※移動後


(Fungi)
, 皆さん、そろそろ来そうですよ!
, 準備してください

(カピバラ)
, アニキ!よろしくお願いするばら


※アニキと戦闘


(Fungi)
, 皆さんのおかげで、アニキを倒すことができました
, カピバラさんもどこかへ移動したようです
, ブリテインに戻りましょう


●〆:ブリ広場

(Fungi)
! 皆さんのおかげでカピバラを移動させることができました
! 本当にありがとうございます

! まさか、その正体が魔人だとは思いませんでした
! もっと俺TUEEE系だとばかり思ってましたが
! カピバラに擬態したら怪しまれないと思っているくらい、チキン野郎でしたね

! 皆さんと戦ったのは彼の兄貴みたいですし
! ともあれ、これで冷茸を移植できます

! 精霊たちも力を取り戻し、森の結界も回復するでしょう
! これも皆さまのおかげです
! 改めて、心よりお礼申し上げます

! 私はさっそく原種の移植を行いますので
! これにて失礼します
! サヨウナラ

End

 

【ミニイベント】LUDO世界選手権2026決勝!

LUDO世界選手権2026 決勝戦!

2026年もLUDO世界選手権が開催されます! 今年は世界各地から10シャードが参加し、熱戦の予選が繰り広げられました。決勝戦は9月18日(金)日本時間23:00より、テストセンター1にて開催されます。

2026年のLUDO世界チャンピオンの栄冠は、果たしてどのチームの手に輝くのでしょうか?

昨年の大会を制した王者 Oceania チームが、3つの挑戦者チームを迎え撃ちます。日本からは予選を勝ち抜いた2チームが出場予定です。初の世界選手権出場となる Mugen チーム、そして2023年世界王者の Izumo チームが頂点を目指します。さらに Formosa チームも、準決勝で Drachenfels チームとの激戦を制し、世界王座獲得に挑みます。

世界最強を決める決勝戦は、白熱すること間違いなし! ぜひ会場へお越しいただき、EMとともに世界大会を盛り上げましょう!

日時:9月18日(金)23時(JST)  – 4pm CEST (UTC+2) – 10pm CST – 10am EDT – 9am CDT – 7am PST(※開催時間は各シャードによって異なります。現地時間については各シャードのEMにご確認ください。)

集合場所:テストセンター1、LUDO世界選手権2026決勝戦コート (六分儀座標: 23o 28’S, 8o 30’W Trammel)

※当日はルナ、ニューヘイブン、ブリテイン銀行付近にLUDOコート行きのテレポーターを設置する予定です。テレポーターをご利用にならない場合は、トランメル、ブリテインのムーンゲートから北西へ進み、最初の畑までお越しください。


◆LUDO世界大会決勝ルール(2026年版)

・各チームは、理想的には4人のプレイヤーでスタートし、そのうちの1人がリーダーに指名されます。ゲームを開始するには、各チームがサイコロを1回ずつ振り、最も高い目を出したチーム(2つのサイコロの合計)がゲームを開始し(時計回りに)、色を選ぶことができます。チームが2つしかない場合は、もう一方のチームは反対の色(青/黄色、または赤/緑)を選ばなければなりません。3チームまたは4チームの場合は、前述の通り、先に振られた目の数に基づいて色が決定されます。

・常に2つのサイコロを使用します。ジェイル(スタート地点)から出るには、6(または6/6)を出す必要があります。ゲームフィールド上には、使用できるサイコロが十分に用意されています。フィールド上に出ている間は、砂のタイルの上のみを歩くことになります。

・自チームのジェイルにまだプレイヤーがいる場合、6または6/6が出たら、1人のプレイヤーを前進させるか、ジェイルから1人を外に出すかを選択できます。サイコロの出目をプレイヤー間で分割することはできず、どちらの数字についても前進させる必要があります。

・通常のゲームプレイ中、後退することはできません。対戦相手のいるタイルを踏んだ場合、その相手はPKされた(剣や拳を使ってはいけません)となり、自チームのジェイルに戻って最初からやり直さなければなりません。

・サイコロのぞろ目(ダブル)が出ると、チームに再ロールのチャンスが与えられます!

・ゴールタイル(中央にある、自分のチームの色をした4つの色付き砂のマス)に近づいた場合、ゴールタイルに到達するために必要なマス数を正確に振らなければなりません。つまり、3/5を出した場合、ゴールタイルは正確に3マスまたは5マス先でなければなりません。そうでない場合は、折り返して次のターンを待たなければなりません。

・一つのチームの全員(4人)のプレイヤーが、中央にあるゴールマスに到達した時点でゲームは終了となります。

・そして、いつものように、ゲームを主導しているEMが、ゲームフィールド上での決定について最終的な決定権を持ち、ゲーム内ジャーナルを用いて最終決定を下します!

 

ロゴ提供 瑞穂シャード Sound Works氏

※日本シャードの皆さま、無限・出雲代表チームの応援に奮ってご参加ください!

※この告知はUO.comのイベントカレンダーの告知記事を転載和訳一部加筆したものです。原文投稿者のEM Lyraaさんに感謝いたします。

【全日本シャード】9月のイベント予定

平素はEMプログラムへのご理解とご協力ありがとうございます。
9月のイベント予定をお知らせします。

9月5日(土)
・22:00~ 無限シャード / ミニイベント (未定)

9月6日(日)
・22:00~ 桜シャード / ミニイベント (未定)
・22:00~ 瑞穂シャード評議会

9月18日(金)
・23:00~ テストセンター1【ミニイベント】Ludoゲーム世界大会決勝

9月19日(土)
・21:00~ 無限・飛鳥シャード / イベント (未定)

9月20日(日)
・21:00~ 出雲・桜シャード / イベント (未定)

9月21日(月・祝)
・ 21:30~ 北斗・大和シャード / イベント (未定) (仮日程)

9月25日(金)
・21:30~ 瑞穂・倭国シャード / イベント (未定)

9月27日(日)
・22:00~ 桜シャード評議会
・22:00~ 瑞穂シャード評議会

※9月の北斗・瑞穂シャードのミニイベントは開催されません。

熱波の原因を解決せよ(イベント)

9/3イベント当日のセリフを追加しました

 

広報官のリシオです。

今回は、タウンクライヤー紙の記者サラさんからの依頼です。

ここ最近、サラさんが住んでいるユーは熱波に見舞われており連日酷暑が続いています。

その熱波の原因がモンスターの可能性がでてきました。

しかし、相手は太陽に重なるような位置で浮遊しています。

上空から引きずり下ろす必要がありますが、それは容易なことではありません。

そこでカギになるのが賢者の石と呼ばれるアイテムです。

まずは、その石を確保し、熱波の原因と思われるモンスターを地上へ下ろす手伝いをお願いします。


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◆開催日時:8月25日(火)22:00~  
◆集合場所:Britain広場

※集合場所付近はリコールできないようになりますのでご注意ください。

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注意事項:
◆ 予期せぬ出来事が発生するかも知れません!貴重品はなるべく持ち込まないよう、お願いします。
◆ 以下に該当の場合、あるいはEMが問題ありと判断した場合はコールのうえ、イベント中止の措置を取らせていただく場合があります。
 - イベント進行の妨害、かく乱行為。
 - EM、あるいはほかのプレーヤーに対する侮辱的発言、またはそれに準ずる行為。
◆ 皆さんのイベントです。マナーを守って楽しく参加しましょう!

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プロローグ

ここは王都ブリテインにある王立広報室。


 真面目に業務内容を監査すると厄介すぎるという上層部の判断により

 王宮の定期査定対象から綺麗さっぱり外されている部署である。


「室長。先月のコン太君の件ですが、お母さんは無事に回復して、再び子育てができるようになったそうです」


 それは一安心にゃと室長が言うと、リシオは続きを話し始める。


「ただ、みやびでしばらく預かった影響か、すっかり人間の食べ物の味を覚えてしまったらしく……毎日の食べ物探しが大変みたいですよ」


「それにゃー」


 室長は苦笑いした。


「そういえば、コン太君はどうしたにゃ?」

 

「彼は立派に巣立ちしたようですね。時折、お母さんの狩りを手伝ったりしているみたいですが」

 

「それは良かったにゃ」


 室長は目を細め、手元のカップに注がれたお茶に口をつける。


「室長、こんな暑い日にお茶なんて飲んで、さらに暑くならないのですか?」

「ふふん。これは『冷茶』だにゃ」


 室長によると、シャンピニョンで夏季限定で販売されているキノコ茶らしく、冷茸(ひやだけ)というこの時期にだけ生える希少な素材をブレンドしているらしい。


 その効能は、喉ごしをすっきりさせるだけでなく、直接体温を下げてくれるという優れものだ。


「そんな特別なお茶があるのですね」

「リシオも飲んでみるにゃ」


 室長が新しいカップに茶を注ぎ、リシオがそれを手に取って口に含む。


「……! これは確かにスキッとしますね。すーっと体温が下がっていくような気がします」


 リシオは即効性のある冷涼感に目を丸くした。


「室長、この感覚は魔法の効果でしょうか?」

「ご名答にゃ」


 室長がドヤ顔でもう一口飲む。リシオもそれに倣い、ふと思った。


(このお茶がもっとあれば、熱波に苦しんでいる人たちの助けにもなりそうだ)


 現在、ブリタニアの特定の地域が熱波の影響を受け、多くの人々がうだるような暑さに苦しんでいる。

 

 幸い、死者が出るような人的被害の報告は今のところ聞いていないが、長引けば体調を崩す者が続出してもおかしくない状況であった。


 リシオが思ったことを口にすると、室長は渋い表情になった。


「大量にあれば、の話だにゃ。このお茶の素材は希少種だし、採取場所も極秘扱いになっているらしいにゃ」


「残念です……。それにしても、あの暑さは尋常ではないですね。水桶を外に数時間放置するだけで、お湯になるレベルだそうですから」

「お風呂に入り放題だにゃ。でも、ただの気象現象じゃない気がするにゃ」


 ブリテインも十分に暑いが、特にユー周辺の暑さは異常だ。高温が乾燥を引き起こし、森林火災まで発生しているほどである。


「何かこう……巨大な『熱源』でもいるような?」


 室長の野生の勘は、嫌になるほどよく当たる。と、そんな不吉な推測をしていた時。広報室の扉がギイィ……とゆっくり開いた。 


 「た、タウンクライヤーの記者!」


 入り口に立つ個性的な衣装の女性を見て、リシオが思わず声を上げる。

 そう、現れたのはポンコツ記者こと、サラであった。


「サラっち! ここは出禁だにゃ!」


 室長は机の上の吹き矢にサッと手を伸ばし、警戒レベルをマックスにする。


「ちょ、待つんだわ! 今日は諜報的裏取材やなくて、真っ当な依頼をしに来たべやぁ!」

 

「……今、自分で諜報だったって認めたにゃ!?」

「あっ」


 見事に自爆してしまったという表情のサラに、室長は容赦なく牙を剥く。


「タチの悪い記者が、ここに何を依頼することがあるにゃ!? 誰かの偵察依頼なら即刻お断りだにゃ! シャーーーッ!」

 

 

「おのれネコマタコ! 今日はユーがでぇら暑ぃ~原因の調査依頼だがや! だで、裏で糸を引いてる犯人がいると思うべやぁ! ガルルーーーッ!」


 猫とトラが本気でいがみ合い、威嚇し合う動物園のような有様を見て、たまらずリシオが席を立った。


「二人とも、ストップです! わかりました、正式なご依頼なのでしたら、とりあえずお話をお聞きしますから!」


 リシオは頭を抱えながら、フンスフンスと鼻息を荒くするサラを二階の応接ブースへと案内した。

 もちろん、いつでもサラを仕留めることができるように、吹き矢を握りしめた室長も同席である。


 二階の応接ブースに移動し、三人がそれぞれ席に着くと、リシオが改めてサラへと真剣な視線を向けた。


「それではサラさん。改めて、詳しいお話を伺います」

「分かっただがや」


 コホン、と一つ咳払いをしてから。サラはユーで遭遇した異常な状況について、静かに説明を始めた。


◇◇◇
 

 ここはユーにあるとある農家。

 その離れの一室に下宿しているのは、タウンクライヤー紙の記者であるサラ・ヘルジングだ。

 

 ヘルジング家といえば、化け物退治を専門とする由緒正しき一族であり、実は彼女はその本家の跡継ぎでもあった。


 幼少期より化け物退治の過酷な修行を強要されて育ったが、物心がつくころから家業に対し違和感を覚え始める。その疑念は成長とともに増大し、十八歳のころに一大決心をして家出を敢行。


 以降はブリテインの酒場『ブルーボア』とパン屋の『グッドイーツ』を掛け持ちして働いていた。


 そんな折、客としてブルーボアを訪れていたタウンクライヤー紙の編集長から仕事の話を聞き、興味を惹かれたのだ。


 最初は街頭に立ち、お馴染みのタウンクライヤー姿で、市民への情報提供を行うことから始めたが、やがて編集長の勧めで紙面版の小さなコーナーを任されることになる。

 
 そこでサラが目をつけ、見事に才能を開花させたのが現在のゴシップネタであった。


「今日も何かネタを探さにゃーといかん。だで、平和なユーにネタは転がっておらん」


 ひとり部屋でつぶやくサラ。

 彼女は生活費を節約するため、家賃の相場が安価なユーに住んでいる。

 さらにこの農家で手伝いをすることによって、格安で部屋を借りているのだ。


「それにしても、今日はでぇら暑いんだわ……」


 ユーは緯度が高いため、本来であれば夏でも高温になることは稀であった。

 しかしここ数日は、十年に一度というレベルの熱波に見舞われ、連日異常な気温上昇が続いている。


 数年前にも同様の現象が起きたが、それは強大なモンスターが原因であり、冒険者たちの活躍によって解決している。

 

「サラちゃん、悪いんだけど井戸の水を汲んできてくれんかな」


 家主のカールが申し訳なさそうに声をかけてくる。


「カールさん、はやいなも。ウチに任せるだぎゃ」


 サラは桶を手に取ると、野外にある井戸へと向かった。


「日差しも、とんでもにゃきついがや……」


 最近は雨も降らず、井戸の水位もかなり下がりつつある。滑車を使って重い井戸水を汲み上げるのにも、普段より時間を要した。


 じりじりと肌を焼くように照りつける太陽を恨めしそうに見上げたサラは、ふと強烈な違和感を覚えた。


「……太陽が、二重に見える?」


 あまりの暑さに疲れて目が霞んでいるのだろう。その時はそう思い、気にしないことにした。

 しかし、次の日も、また次の日も、いつ空を見上げても太陽の輪郭は二重に見え……やがて、その表面に目のような不気味な窪みまではっきりと見え始めたのだ。

 


 ここで、怪物ハンターの血を引くサラの直感が告げた。


 あれはただの太陽なんかじゃにゃ。熱波を引き起こす異形の類だがや、と。


 一通り説明を聞き終えたリシオは、なるほどと言って茶化すことなく真剣な顔で深く頷くと、隣に座る室長へと視線を向けた。


「仮にその目の窪みがある太陽が魔物なのだとすれば、ユー周辺の局地的な熱波の説明もつきますね。室長」


「暑さで適当な幻覚を見て、いい加減なことを言ってる可能性もあるにゃ」


 腕を組んだネコマタコ室長はまだ疑っている。


「ガセを言っとる場合じゃないやろが! ウチは本気やぁ!」


 嘘偽りのない、必死で真剣な表情のサラ。

 その気迫を見て、室長もようやく考えを改めたようだった。


「……分かったにゃ。リシオ、サラっちに同行して、本当にその変な太陽があるか確かめてくるにゃ」


 室長の命を受け、リシオはサラと共に異常気象に見舞われているユーの地へと赴いた。


◇◇◇


「確かに、これは暑い……!」


 リシオは額から滝のように吹き出す汗をハンカチで拭った。

 本来なら比較的冷涼で過ごしやすい地域のはずなのだが、灼熱の砂漠のような暴力的な暑さであった。


「だから言ったがや。異常な暑さになっとると……」


 サラは「それ見たことか」と言わんばかりの、見事なドヤ顔を浮かべて胸を張っている。

 対するリシオは、広報室から持参したバックパックから気温測定用の魔道具を取り出し、さっそく現地調査を始めた。


 そこに表示された数値は41度。

 その異常な数値を目の当たりにしたリシオは、思わずたじろいだ。


「あり得ない……」


 王都ブリテインも熱波の影響を受けてはいるが、それでも34度だ。ユーの温度は完全に自然の域を超えている。


 以前のように、やはり強力な魔物の関与が疑われると判断したリシオは、太陽を直接観察するため、光を遮断する濃度の高い特殊なサングラスを着用して空を見上げた。


「あ、ほんとだ……」


 サラの言っていた通りだった。

 強烈な光を放つ太陽の表面に、巨大な目のような不気味な窪みがはっきりと確認できたのだ。


「ほれみい! ウチの言ったことは正しいだがや!」


 サラは「疑って悪かったと謝れ」とでも言いたげな、非難めいた視線をリシオに向ける。

 しかし、リシオはそのドヤ顔をまったく気にすることなくバックパックからノートを取り出すと、すぐさまその異常な太陽のスケッチを黙々と始めた。


 背後にある本来の太陽は月のように真ん丸だが、その手前に重なるようにして浮いている『何者か』は、ゴツゴツとしたやや歪な形をしており、不気味かつ無秩序にぐるぐると回転を繰り返していた。


「仮にこれが魔物だとして……まったく見たことのない奴ですね。強いて言うなら、巨大な岩石のような感じですが」


「そんなとんでもにゃ魔物、ヘルジング家の文献でも見たことないがや」


 ひと通りスケッチが完了したところで、上空を見上げていたサラが「なんにせよキモいがや」と吐き捨てるように言い、現地の調査は足早に終了となった。


 急ぎ王都へ帰還し、広報室に戻ったリシオたちは、留守番をしていた室長へと調査結果の報告を行った。


◇◇◇


「これは、念のためライキュームの学者に相談した方がよさそうにゃ」

 

「絶対にとんでもない特ダネになる気がするだわ! ぜひウチに同行取材させて欲しいがや!」


 室長は腕を組み、目を細めて黙考する。

 ややあって、サラに向けて厳しい視線を放った。


「……条件があるにゃ。今後、うちの広報室を茂みからこっそり見張るのは止めるにゃ」

 

「そ、それは……」


 サラは真剣に悩む。

 こっそりと裏情報をスッパ抜いて記事にするからこそ、読者の目を惹く面白い記事が作れるのだ。


 許可を得ての公式な取材など、面白味に欠ける。そんな優等生な記事ばかりでは、いずれ誰からも見向きされなくなってしまう。


 しかし、今回の謎の熱波と不気味な太陽の件は、間違いなく多くの市民が関心を持っている大事件だ。この取材を逃すのは、記者として絶対にあり得ない。


 ウンウンと唸って悩むサラ。と、そこに存在を忘れられていたリシオが口を挟んだ。


「室長。今回の件は、すでに多くの市民が関心を持ち、不安に思っています。ですから、広報室の活動をPRするという意味でも、サラさんに同行取材してもらっても良いと思うのです」


 それに、王立の機関が記者の取材する権利を不当に制限することはできませんよ、とリシオは正論を並べた。

 
「確かに、リシオの言うことも正論にゃんだが……」


 納得がいかない様子の室長。

 う~んと唸ったのちに、やれやれと口を開く。


「……分かったにゃ。同行を許可するにゃ。ただ、依頼者に執拗につきまとったり、今後広報室の周辺で『大きな藪蚊』を見つけたときは、有無を言わさず無慈悲に駆除するにゃ!」


「誰が藪蚊だがや!」

 

「サラっちが藪蚊だとは一言も言ってないにゃ」と室長がしれっと言うと、「汚いぞ、ネコマタコ!」とサラが牙を剥いて切り返す。


「シャーーーッ!」

「ガルルーーーッ!」


 王立広報室に、再び獣たちの猛々しい威嚇の咆哮が響き渡る。

 そのひどく野性的なやり取りを見て、リシオは「うん、取材の件は無事に解決したな」と心の中で安堵の息を吐いた。


「よし、話を戻しましょう。まずはライキュームに行って、学者さんの意見を聞くことですね」

 

「そうだにゃ。アンドリューというメイスターに聞いたらいいにゃ」


 室長はサラから視線を外し、手早く紹介状を書き上げるとリシオに手渡した。


 それと今回の依頼は『ユーの熱波の原因調査』として正式に受理された。


◇◇◇


 同日午後。

 ライキューム。

 到着したリシオとサラは、さっそく広大な敷地の中でアンドリューという人物を探すことにした。

 

 行き交う大勢の人々を前に、誰に声をかけたらよいか悩むリシオ。しかし、サラは生粋の記者の勘を働かせ、通りすがりの一番若くて押しに弱そうな人物を瞬時にロックオンして話しかけていた。


「ちょっといいがや? ウチはタウンクライヤー紙の記者、サラだがや」

「だ、だかや……?」


 ライキュームに似つかない奇抜な衣装の人物から、唐突に独特すぎる訛りで話しかけられた少年は完全に目を白黒させていた。


「あー、これはウチのクセのようなものだから、気にしないだがや」


 バンバンと遠慮なく肩を叩くサラに、迷惑そうな顔を隠しきれない少年。

 サラはさらに畳み掛けるように肩を組み、親しげに語りかけた。


「メイスターのアンドリューさんを探してるがや」

「アンドリュー様ですね。サラ様と……失礼ですが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」


 ここでようやくリシオが一歩前に出て口を開いた。


「僕は王立広報室のリシオです」

「広報室?……分かりました」


 少年は言い残すと、逃げるように足早に奥へと消えていった。


「いつ来ても、ここの本の数には圧倒されるだがや」

「確かに、そうですね」


 ライキュームは、大図書館かつ学術研究機関として知られ、世界中から優秀な学者や研究者、学生が集まっている知の殿堂だ。


 気難しそうな者が多く、誰に声をかけるか悩んでいたリシオであったが、サラが目ざとく少年を見つけて捕まえてくれたおかげで、結果的に助かったと思った。


 ややあって、少年がひとりで戻ってきた。


「アンドリュー様のところまでお連れします。こちらへ」


 少年の案内に従い、リシオ達はライキュームの中庭にあるテレポーターに乗る。

 

 移動したのは地下室のようで、所狭しと膨大な書籍が積み上げられていた。ただ、この部屋に置かれている本は装丁が豪華なものが多く、一目見ただけでも価値のある歴史的な書物だとわかる。


「こちらでお待ちください。……それと、真実の本には絶対に触れないで下さいね」


 さっそく珍しそうな本に手を伸ばそうとしていたサラに向けた、鋭い牽制のコメントだった。


「あ、分かったがや」


 少年が呆れたように部屋を出て行くと入れ代わるようにして、アンドリューと思われる人物が姿を現した。

 

 真っ白な髪と豊かな髭を蓄え、やや色褪せた茶色のローブを身に纏ったその姿は、いかにもメイスターといった風貌である。


「やぁ、待たせたのぉ。広報官殿と記者さんが、ワシに一体なんの用事かな?」


 リシオがユーの異常気象と不気味な太陽について手短に伝えると、アンドリューは「うむ……」と一言発し、深く考え込んだ。


「何か良い解決策はないだがや?」


 ややあって、アンドリューが重々しく口を開く。


「……『賢者の石』かのぉ」

「「えっ!」」


 リシオとサラの声が見事にハモった。驚くのも無理はない。

 

 賢者の石といえば、おとぎ話に出てくる伝説上の代物だと思われているからだ。黄金を作り出したり、不老不死の薬になったり、どんな願いも叶えるとも言われている。


 さらには、神が地上に残したギフトという説もあれば、大量の魂を集めて練り上げたという恐ろしい説もあり、何からできているのかさえ不明とされている、いわく付きのアーティファクトである。


「本当に存在するのですか!?」


 思わずリシオが身を乗り出して尋ねると、アンドリューは「ある」と平然と答えた。


「その石で、どうやって太陽を落とすんだがや?」

 

「あれは使い方次第で、いかようにも応用が利くらしいんじゃ」

 

「……らしい?」


 リシオが引っかかりを覚えて尋ねると、アンドリューはゆっくりと語り出した。

 

 彼によると、実際にその目で石を見たわけではないらしいが、膨大な書物や各地に残る伝承を調べ上げ、実際に行ける場所は自らの足で現地確認まで行ったという。


「確実にあるはずなんじゃが……ワシらでは確認しに行けない場所にあるんじゃ」


 先ほどまでは「ある」と自信に満ちた様子であったが、今の口調はどこか歯切れが悪い。


 それもそのはず。彼が指し示すその場所は、そこは、凶悪な魔物が跋扈し、凶悪なトラップが容赦なく侵入者を排除してくる絶望的な魔窟なのだという。


 アンドリューひとりではどうすることもできず、かといって限られた資金では凄腕の護衛を雇うこともできず、調査はそこで頓挫して三十年近く経過してしまったらしい。


 貴族や豪商などの強力なパトロンがいないと調査と研究が進まないというのは、なんとも世知辛く悲しい話である。


「今回の依頼は、何かの縁かもしれぬの」

 

「アンドリューさん。その場所に案内してもらってもよろしいでしょうか?」


 リシオが尋ねると、「もちろんじゃ」と言ってアンドリューは力強く頷いた。


「今日はもういい時間ですので、しっかりと装備を整えた上で明日出発するとしましょう」


 リシオの提案に頷く二人。そこで何か思い出したかのように、アンドリューが話しだす。


「ならば、ワシは該当する文献を今夜もう一度確認しておくとしよう」

 

「食料と虫よけの準備は、ウチに任せておくだがや!」


 サラは腰に下げている『虫くるな~ズ』を手に持って得意げにアピールするが、それを見たリシオとアンドリューは揃って苦笑いを浮かべた。


 そして翌日。

 リシオ達は『賢者の石』が眠っている可能性のある場所の調査をすべく、ウインド周辺の洞窟を奥へと進んでいた。


 しかし、洞窟の中は本来の生態系とは思えないほどのモンスターの数だった。奥へ行くほど、その凶悪さと難易度は跳ね上がっていく。


「ウインド周辺って、ここまでモンスターが強かったでしたっけ……?」

「これじゃ、誰も街へ行けないだがや!」

「こっちのルートは少し特殊なんじゃ」


 リシオは剣術の心得があるため先頭で立ち回り、サラは魔法攻撃で的確に援護し、後方からアンドリューが回復や支援魔法で二人をサポートする。


 DoomのL2あたりなら、この三人のコンビネーションでも十分に攻略できそうなほどの見事な連携であった。


 しかし、結果的に三人はある場所を境に足を止め、完全に立ち尽くしてしまった。

「……これは、とんでもにゃあモンスの群れだがや」

 

「じゃろう? だからこそ、誰も手出しできず、賢者の石が手付かずで残っているに違いないとワシは思うんじゃ」

 

「確かに……」


 アンドリューの言葉に、リシオは力なく頷く。

 岩の隙間から奥を覗いただけで直感的に理解できる、この先の絶望的な状況。


 高難易度のモンスターがこれほど異常にうじゃうじゃと群れている理由は定かではない。石の魔力に引き付けられたのか、それとも何か別の要因で住処を追われたのか……。
 

 いずれにせよ、今回のメンバーだけでどうにかなるレベルの代物ではなかった。


 ここで、リシオはふと思う。

 いつも報告書を作成しているからわかるのだが……『事件が起きる』→『ダンジョンへ向かう』→『強敵がいて先に進めない』→『広報室へ戻って冒険者に依頼を出す』


 今回も、完全にそのお決まりのパターンの予感がする。


「……完全にマンネリ化しているな」


 思わずメタな本音を呟いたリシオに、サラが怪訝な視線を向ける。


「何がマンネリ化だがや?」

「いえ、こちらのひとりごとですよ」


 リシオは悟ったような遠い目をして、そっと首を横に振った。


(いや、今はメタなことを考えている場合じゃない。目の前のこの状況をどう解決するかだ)


 気を取り直したリシオに、アンドリューが再び口を開く。


「この先を調査するには、どうしても凄腕の冒険者の助けが必要じゃろう。じゃが、しがない学者のワシには、彼らを雇うだけの莫大な資金力がないのじゃ……」


「その点についてはご安心を。実は今回、我々は既に『ユーの熱波の原因調査』という依頼を受けて動いているのです」


 ここでリシオは、王立広報室のシステムと、依頼を引き受ける冒険者たちにもたらされるメリット(報酬や利点など)について手短に説明した。
すると、アンドリューの曇っていた表情が見る見るうちに明るく輝き始めた。


「おお……! 今まで研究室に引きこもってばかりおったから、世間にそのような素晴らしい仕組みがあるとは知らんかったわい」

 

「もっと早く知っとったら、アンドリュー氏の研究も、とんでもにゃあ進んでいたかもしれんだがや」


 広報室では建前上、「公益に適う依頼でなければ引き受けない」とされている。

 しかし実際のところは、室長の裁量(と気分)によって個人的な依頼でもホイホイと引き受けているのが現状であった。


 そのため、幅広い層から多種多様な依頼や意外な裏情報が舞い込んでくる。

 その情報は当然、王室の上層部にも届くため、結果的に『有益な情報収集機関』として黙認されている、というわけだ。


「それで、アンドリューさん。今回は具体的にどのように進めたら良いでしょうか?」

「そうじゃな。昨夜、文献を再度調べてみたんじゃが……」


 アンドリューの解説によると、運よくその『賢者の石』と呼ばれるアーティファクトを入手できたとしても、そのままでは使えないらしい。石の中に膨大な「エネルギー」を充填する必要があるのだという。


 エネルギーを満たした石を持ち、件の『偽の太陽』がよく見える場所で術式を起動し、空から魔物を引きずり下ろすという寸法だ。


「最大の問題は、その空っぽの石に、どうやってエネルギーを充填するかなんじゃが……」

「複雑な手順が必要なんですね?」


「うむ」と深く頷き、アンドリューは話を続ける。


 賢者の石そのものを対象とした文献ではないが、特殊な鉱石に莫大な魔力を込める方法が参考になりそうだという。


 しかしそれには、常識外れの魔力を持つ熟練の魔術師の存在が不可欠であった。


「残念ながら、ワシが知っているような大魔術師は、とうの昔に寿命で土の中じゃしのぉ……」


「魔術師なら、一番身近なところに心当たりがいるだがや」


 サラがポンと手を打ち、ニヤリと笑ってリシオへ視線を向けた。


「ハテナってのがいるやろが、リシオ」

「あぁ……!」


 リシオはハッと顔を上げた。確かに、あの規格外の人物なら適任かもしれない。


「む? その『ハテナ』というのは一体何者なんじゃ?」


 ひとり話に置いてけぼりにされているアンドリューが尋ねてきたため、リシオが彼女の持つデタラメな能力と素性についてかいつまんで説明した。


「そ、そんな常識外れの者が、この世界に存在してよいのか……!?」


 学者の常識を根底から覆され、頭を抱えて震えるアンドリュー。そのリアクションは至極当然のものだと、リシオは心の中で深く同意した。


 しかし、これでエネルギー充填の算段もついた。今回の作戦の全貌がハッキリと決まったのだ。


①冒険者の助けを借りてダンジョンを攻略し、『賢者の石』と思われるものを入手する。

②その後、ハテナの元を訪れて石にエネルギーを充填してもらう。

③最後に太陽がよく見える場所へ行き、石の力で偽の太陽を引き寄せ、もし害をなす魔物であれば討伐する。


「ちょうどいいことに、ハテナは今、ユーの街中で期間限定の出張占いをやってるみたいだわ。最高のタイミングだがや!」とサラが情報通ぶりを発揮する。


「おお……ワシもその規格外の魔力が充填される歴史的瞬間をぜひ見学したかったんじゃが……生憎、今週は重要な学会の発表があって参加できぬのじゃ……」


 膝から崩れ落ちそうなほど残念そうな表情をするアンドリューに対し、リシオが「後日、必ず詳細なレポートをお届けします」と約束すると、彼はようやく安堵の表情を取り戻した。


「それでは、僕たちは作戦の手配のため広報室に戻ります」

「うむ。詳細なレポート、首を長くして待っとるぞ!」


 翌朝。

 広報室の掲示板には、血気盛んな冒険者たちに向けた新たな依頼が高々と発表された。

 

イベント当日のセリフです

●スタート:ブリテイン広場

(R リシオ)
! 本日はお集まりくださいまして、誠にありがとうございます
! 広報官のリシオです
! どうぞ、よろしくお願いいたします

! それでは本日の依頼内容を説明します
! 現在、ユーは謎の熱波の影響で連日酷暑が続いており
! 森林火災や農作物へ甚大な影響がでています
! 地域住民にも健康被害がでおり、一刻を争う事態となっています
! ただ、この熱波は犯人と思われる者がいるようなのです

! それは太陽に重なるように上空でくるくる回転している岩石です
! 目や口のような窪みがある不気味な岩です
! どう考えてもモンスターの類だと思われます
! 問題は、それをどうやって地上へ引きずり下ろすか
! そこでキーになるのが賢者の石と噂されるものです
! これは、ライキュームのメイスターである
! アンドリューさんが過去究していて
! ウインドの洞窟から続く場所にあるとされています

! 賢者の石は伝説上のものと思われているアレです
! 等価交換で黄金を作り出したり、不老不死の薬になったり
! それは神が地上に残したギフトという説もあれば
! 大量の魂を集めて練り上げたという恐ろしい説もあります
! 実在するとしたら、僕も一度は見てみたいと思ってます
! そして実際に、僕たちも行ってみたのですが
! モンスが強くて近づけませんでした

! そこでまず、冒険者のみなさんの協力を得て
! モンスを排除し、賢者の石と思われる石を入手します
! 次に、 その石にエネルギーを充填する必要があります
! そこは、ハテナさんにお願いしようと思っております
! 今日は灼熱のユーで、出張占いをしているようなので
! アポは取ってませんが、いきなり行ってお願いしようと思っています

! そして最後は、太陽の見える場所へ移動し
! モンスを引きずり下ろし、場合によっては討伐します
! これから移動しますが、私は所用があり同行できません
! 移動先に、タウンクライヤー紙のサラさんがいますので、途中で合流してください
! サラさんは先行してウインドのダンジョンに入っています
! モンスターが増える手前で待機しているはずです

! 移動前にチャットにお入りください
! Yamato EM Eventです
, 本日も宜しくお願いします
! それではゲートを出すのでお入りください
, ゲートを出たら、ウインドの洞窟を先に進んでください
, サラさんを発見したらチャットで知らせてください

●ダンジョン

(S サラ)
! 何か怪しい生き物がいるだがや


(C Serpentine Dragon)
! なんだお前ら?

(S)
! 賢者の石を探しに来ただがや

(C)
! 賢者の石?

(S)
! そこにある石だがや

(C)
! あぁ、これか
! これは俺様の背中をゴリゴリと擦ったり
! 爪を手入れするのに使っている石だぞ
! 価値のあるものなのか?

(S)
! その石にエネルギーを充填して太陽に重なって
! 空中に浮いている魔物を引きずり下ろすだがや

(C)
! この石って、そんなことができるんか?

(S)
! でらすげえ石だがや。知らんかったんか?

(C)
! 初めて知ったぞ。体のメンテナンスに丁度いいから長年使って来たんだ。
! 鼻の穴につっこんで、異物を取る時にも使うし、足の裏のツボを押すのにも重宝しておる。

(S)
! でら汚ねえ石だがや
! 触りたくなくなってきたがや・・・

(C)
! やらん。長年使っていて愛着あるし、貴重な石みたいだしな。

(S)
! いらんことを言ってしまっただがや

(C)
! この石はな、気が狂ったとしか思えない錬金術師が
! 大昔、多くの人間の魂と、仕上げに己の魂を使って作り上げた曰くつきの石だぞ
! 足の裏のツボを押すときなんて
! 石から「臭いやめろ」と声が聞こえることもあるんだぞ

(S)
! ますます欲しくなくなってきたぞ
! 臭い・汚い・キモイ 3Kアイテムだがや
! だで入手せねばユーが灼熱地獄から解放されねえ

(C)
! そんなに欲しいなら、俺と戦って勝てば持っていくといいだろう
! 予備もあるしな

(S)
! それなら予備をわけて欲しいだがや

(C)
! やらん。体がなまっているから運動がてら戦ってもらおう

(S)
! 望むところだがや

※中ボスを登場
※戦闘終了後

(S)
! みなさんのお陰で、賢者の石を手に入れたわけですわ
! でも臭いから、厳重に袋詰めして持っていくがや
! 移動するよ!


●ユー

(S サラ)
! 到着だがや
! あれがリシオが言っていた占い師に違いないんだわ
! ハテナさん、突然だけど賢者の石にエネルギーを充填して欲しいだがや

※サラは机に賢者の石を置く

(H ハテナ)
! これはタウンクライヤー紙のサラ・ヘルジング氏

(S)
! なぜウチのことを知っとるがや

(H)
! 私は占い師よ。それぐらい分かるわよ
! ところで、充填してあげてもいいけど対価は?

(S)
! え?金を取るだがや? 
! 自然界のマナを充填するだけなのに?

(H)
! 自然界のマナエネルギーじゃないわ
! 人の魂を少しずつ削って充填するのよ、そのタイプの石は
! 賢者の石って呼ばれるものの類は
! 錬金術師がいきがって作ってるケースが大半よ
! だからロクでもないものが多いの

(S)
! そうだったのか・・・・
! ところでウチは給料日前で、所持金は少ないわけですわ

(H)
! そう。なら、諦めることね

(S)
! だで、このままじゃユーが灼熱地獄に、ってここは涼しい?

(H)
! 私の魔法で涼しくしているよ

(S)
! そんなことができるなら、太陽に重なている魔物も引き寄せれるんじゃ?

(H)
! 出来なくはないけど、さらなる対価が必要よ?

(S)
! さすが邪神様だわ
! そんなこと言わず
! この石になんとかエネルギーを・・・

(H)
! それより、さっきから臭いんだけど
! なんの匂いなのかしら

(S)
! その賢者の石が匂っとるがや

! ありがたや

(H)
! え?
! うわ、臭い!!
! もう、分かったわよ
! 充填してあげるから、終わったらさっさと持って行って頂戴

※ハテナは詠唱
Души людей здесь
Засыпьте камень.
Духи земли, даруйте нам свою силу!

(S)
! あわわ。なんか黒い靄が・・・

(H)
! これで充填できたわよ。早く持って行って頂戴

(S)
! ありがとうだがや
! みんな、太陽がよく見えるところへ移動するだがや


●太陽のよく見える場所

(S サラ)
! 到着!
! さっそく石を使って、あの忌々しい偽の太陽を引っ張るだがや
! 石をセットして
! あとは引っ張るイメージを・・・
! あれ、何も変化がないだがや・・・
! そうだ、宿敵ネコマタコを引きずり下ろすイメージを

! 何者だがや

(U 宇宙人)
! ウワ!チジョウニ オリレタ

(S)
! 喋っただがや

(U)
! ワレワレハ ウチュウジンダ

(S)
! う、宇宙人??

(U)
! トナリノ ホシヲ チョウサスルタメニ キタ
! コノホシヲ ツウカチュニ トラブルガ ハッセイシタ

(S)
! なんのトラブルだがや?

(U)
! カラダニ イワガクッツイテ  トレナイ
! ネツヲハッシテ トカソウト オモッタガ
! オモウヨウニ トレナイ

(S)
! なるほど。それでユーが熱波に覆われていたんだがや
! それはどうやってとれば?

(U)
! ワレワレヲ  コウゲキシテクレタラ イイ

(S)
! 分かっただがや、さっそくみんなで攻撃を

(U)
! マッテ。ココハ セマイ
! モット ヒロイバショデ ヤッテホシイ

(S)
! 分かった
! ウチがいい場所を知っている。みんなゲートを出すから入るがや

! ここにゲート出すから入るだがや

(S)
, みんな、移動しただがや?
, 宇宙人が登場したら攻撃しよう

※ボス戦闘開始
※戦闘終了

(S)
, みんなのおかげで、宇宙人の岩を破壊できたがや
, ありがとう!
, ブリに戻ろう

●〆:ブリテイン広場

(S)
! みんな揃っただがや?
! 宇宙人さん、体についていた岩が全部取れたので
! 空に戻っていっただがや
! ちなみにグレイ型の宇宙人だったがや
! ここに来てくれたらよかったんだけど
! 恥ずかしいからっていってしまっただがや
! 今回の出来事は、次の記事に載せるので
! お楽しみにしとるといいんだわ
! それでは編集部に戻るのでサヨナラだがや

END

■

飛鳥シャードで開催されるLudoゲーム世界大会準決勝(日本代表決定戦)についてお知らせいたします。

準決勝ルールについては下記をご確認願います。

Ludoゲーム世界大会準決勝(日本代表決定戦)ルール(2026年度版)

2026年秋にテストセンターで開催されるLudoゲーム世界大会へ出場するために日本シャードが開催する準決勝のルールについて説明します。

準決勝(日本代表決定戦)について
・準決勝では8つの全日本シャードからサイコロでAブロック(4チーム)とBブロック(4チーム)に分かれて競います。
・組み合わせは当日各チームの代表者が振るサイコロで出た目の高い順でブロックと色を選んでいただきます。
・各ブロックの優勝チームが世界大会決勝に進出します。
・メンバー変更がある場合は事前に担当EMまでご連絡願います。

参加チームについて
・4人1チームとし、参加受付時には4人全員が揃っていること。
・予選ではチームメンバーの途中変更は認めていませんでしたが準決勝についてはメンバーの都合による変更は認めます。
・メンバー全員がチームローブを着れること。
・1プレイヤーで複数のチームに参加又は複数のシャードでの参加は禁止です。
・時間短縮のため試合当日には細かいルール説明は行いませんので事前にルールを確認してください。
・以上について条件に合わなかった場合はそのチームは失格となります。

参加受付について
・準決勝試合当日の指定時間までに4人揃って受付してください。
・チームリーダーを1名選出してください。
・準決勝以降はチーム名はシャード名になります。

Ludoゲームのルールについて

基本的にEM Takakoが定めたルールを踏襲します。

用意する物
・チームローブについては担当EMが用意します。(持ち込み可)
・騎乗生物やペットの同伴については禁止します。

ゲームスタート
・まず4人はチームカラーのJail(牢獄)に入ります。
・各チームリーダーがサイコロを振り、一番大きい数字を出したチームから時計回りにスタートします。
・スタート後のサイコロについてはチーム内で自由とします。
・パスは認めません。

脱獄について
・サイコロのいずれか一方の目が6であれば、1人脱獄できます。
・サイコロの目の合計が6の場合は脱獄できません。
・6のゾロ目が出た場合でも1人しか脱獄できませんが、脱獄後にゾロ目の恩恵(再振り)は受けられます。

道中について
・時計回りにコースを進行します。
・サイコロの中に6が出た場合は脱獄するか進行するかどちらかを選択します。
・他のチームメンバーがいるマスに停止した場合はPKが成立し先にいたキャラクターをJailに戻します。

中央部について
・自分のチームカラー内しか入ることはできません。
・必ず毎回ゴールマスに向かって進み、オーバーした分は折り返します。

勝敗について
・準決勝についてはチームメイト2名が先にゴールした順番で決定します。

細かいルール説明については「Mizuho New Trinsic News」でわかりやすく紹介されています。
http://tirinews.blog.fc2.com/blog-entry-1195.html

大和シャードの皆さま、代表チームの応援に奮ってご参加ください!

ロゴ提供 瑞穂シャード Sound Works氏

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◆開催日時:8月8日(土) 21時30分
◆集合場所:飛鳥シャードリワードホール東側(当日はルナ銀行とブリテイン広場にゲートを出します)
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注意事項:
◆当日はチャットチャンネル Ludo Japan へお入りください。
◆予期せぬ出来事が発生するかも知れません!貴重品はなるべく持ち込まないよう、お願いします。
◆以下に該当の場合、あるいはEMが問題ありと判断した場合はコールのうえ、イベント中止の措置を取らせていただく場合があります。
– イベント進行の妨害、かく乱行為。
– EM、あるいはほかのプレーヤーに対する侮辱的発言、またはそれに準ずる行為。
◆皆さんのイベントです。マナーを守って楽しく参加しましょう!

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