森の屋台(イベント)

王室広報官のRiccioです。

今回はパン屋のSakiちゃんからの依頼です。


森の奥深くにある屋台で知り合った少年の願いを一緒に叶えて欲しいそうです。

お化けに遭遇しても大丈夫なメンタルでお越しください。

 

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◆開催日時:10月29日(火)    22時00分 
◆集合場所:ブリテイン広場***********************************************************************************
注意事項:
◆ 予期せぬ出来事が発生するかも知れません!貴重品はなるべく持ち込まないよう、お願いします。
◆ 以下に該当の場合、あるいはEMが問題ありと判断した場合はコールのうえ、イベント中止の措置を取らせていただく場合があります。
 - イベント進行の妨害、かく乱行為。
 - EM、あるいはほかのプレーヤーに対する侮辱的発言、またはそれに準ずる行為。
◆ 皆さんのイベントです。マナーを守って楽しく参加しましょう!

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プロローグ

 

ここはブリテインのグッドイーツ
リアとサキの姉妹が営んでいるパン屋である。

 

「今年の限定お菓子は何が良いかしらね?」

 

姉のリアが妹のサキに語りかける。
二人は秋限定の商品を考えているところである。
昨年、季節の限定品を出したところ評判だったので今年も続けているのだ。

 

「この前、森の奥で見つけた屋台でタコせんっての食べたの!サクサクして、と~っても美味しかったよ」

 

サキが微笑む。

 

「や、屋台?タコせん?それは何かしら?」

 

森の奥の屋台に疑問を持ちつつも、タコせんが気になるリア。
サキはタコせんの説明を始める。

 

「こ~んな楕円形のおせんべいに、たこ焼きを乗せてソースとマヨネーズを塗って食べるの!」

「タコ焼きにマヨネーズ???」

 

サキの言っているモノが想像できず困惑するリア。
たこ焼きに関しては、以前ブリテインでも一時流行したので覚えがあった。

 

「リア、こんど買ってきてあげる!冬が始まるまで、あの居酒屋の屋台はあるみたいだから」

「ちょっと待った!いま居酒屋って言った?」

 

居酒屋とワードに反応するリア。
表情は瞬時に険しくなり、サキは言葉の選択を間違えたことに気づいた。
この世界では子供がお酒を飲むのは推奨されない。

 

「お酒は呑んでないわよね?サキ?」

「そんなシュワシュワするもの呑んでないの!」

「え?」

「はっ!?」

(こいつ、絶対呑んだな!)

 

サキの反応に『黒』だと確信を持ったリアは、
真相を明らかにすべく、もう少し聞いてみることした。

 

「シュワシュワって何かしら?美味しかったのかしら?フラフラしなかったかしら?」

「サキは呑んでないの。何も知らないの」

 

サキの目が泳ぐ

 

「怒らないから、正直に言ってごらん」

 

笑顔なのに、目は笑っていないリア。
睨みつけられること1分弱、サキは観念した。

 

「少しだけ...、呑んだの。シュワシュワして美味しかったの...」

 

もう酒の味が分かるのかと驚くリア、
もう少し成長するまで呑まないことを約束させ本題に戻ることにした。


「それで、タコせんだっけ?」

「そうなの。明日、タコせんの作り方教わってくるの!」

「気をつけて行くのよ」


翌日、サキはタコせんの作り方を教わるために屋台へ向かった。

場所はブリテイン東の森の奥深く。
一般的にサキのような少女が一人で行くような場所ではない。

 

サキが特別なのである。


森を進むこと半時、木々が生い茂っているため日中でも薄暗い場所に屋台はあった。

まだ昼だというのに賑わっている。
客は人から魔物、精霊まで多種多様な者たちが集っていた。


「サキちゃん、また来たのかい?」


声を掛けてきたのは店主でゴブリンの吉田である。
普段は普通にゴブリンをしているが、この時期だけは店主をやっているらしい。


「サキちゃ~ん、今日もシュワシュワ呑んじゃう?」

「リアに怒られるから今日は呑まないの!」


シュワシュワを勧めてきたのは天使のレミエルであった。
通常、子供にシュワシュワを勧めることは無いが、この時期だけはなんでもアリと思っている、ちょっとアレな天使であった。


「吉田!タコせんの作り方教えてなの!レシピちょうだいなの!!」

「サキちゃん、だから簡単に渡せないって言ったよね?」


ドヤ顔のサキに困惑する吉田。


「あの時、レミエルとドラ子にシュワシュワ呑まされたから、断ったことを忘れたんだろ?」

「そこまで呑んでないの、吉田っ!ジョッキくらいでサキは酔わないの!ウソはよくないの!!」

「レシピは他の人には教えないって約束なんだよ!だからサキちゃん、諦めてくれ!」


教えろ、教えない、酔った、酔ってない、
言葉の応酬に割り込んできたのは、突如現れたオバケであった。


「あの~、ちょっとお願いがあるの~。聞いてくれたら~、レシピ教えるよ~?」

「ほんとに!? ところであなたは誰なの?」

 

レシピに反応するサキ。

 

「お!デロス坊やじゃねーか」


吉田はオバケのことをデロスと呼んだ。

タコせんのレシピを教えたのはデロスであった。
彼は子供のころ、病が原因で亡くなっている。

 

その後もお母さんが心配で転生はせず、この世とあの世との間にある門が開くこのシーズンはオバケになって様子を見に来るそうだ。

ちなみに、タコせんはお母さんが教えてくれたものらしい。


「実はお母さんが病気なんだ。治すために必要なモノを集めて欲しいだ」

「なるほど、分かったの!」

「僕はオバケになっちゃったから何もできないんだ」


屋台の客たちはデロスに協力することにした。
症状を聞き、それぞれが知恵を出し合い必要な素材を割りだす。

 

吉田はゴブリンの秘薬を、ドラ子は自身のウロコを提供した。
あとは入手しにくい素材をどうするかが課題となった。

 

その1つが天使の涙。これはリッチのリチャードが言ったものだ。
リチャードは生前、錬金術を極めた賢者だったらしい。


天使の涙ってレア素材なの!」


入手の難しさを知るサキは驚く。
しかし、他の客は天使と聞いてレミエルに視線を向ける。


「ちょっと何よ、え? ぐへぇ.... バタ」


ドスっという鈍いサウンドとあばら骨が折れる音がレミエルから響く。
ドラ子が間髪入れず拳をレミエルのみぞおち付近に喰らわせたのだ。


「これで天使の涙は手に入ったわね。泡はいらないか....」


笑顔のドラ子。
口から泡を吹いて気絶するレミエル


「天使はすぐに回復するから問題ないわ。それより入手が難しいアレは誰が集める?」


すかさず挙手するサキ。


「アレはサキが冒険者のみんなと一緒に取ってくるの!数日待っててねデロス」


入手が難しいアレとは、異空間にあるとされるペンデュラム。
これは、サキが冒険者と一緒に入手することになった。

 

サキは王室広報官室へ急ぎ向かうのであった。