第7回 銀蛇自警団出動指令 - それぞれの夢

ファントム卿と呼ばれた男は夢を見ていた。 ブリテインのガードポストでいつものように当直のガードと立ち話をしている。世を憂うガードのとめどない愚痴を聞かされた後、収穫がないと悟った男は、イルシェナーの地へと失われたジュカの砦の調査に向かうのだ。かろうじて焼け残った柱の陰から、何者かがすすり泣く声がする。いぶかしく思って近づくと、突然足をすべらせて男は真っ逆さまに奈落の底へと落ちて行くかのような感覚を味わうのだ。声にならない叫びをあげようとして我に返ると、静まり返った漆黒の空間に自分が立っていることに気づく。そして自分の5、6歩先に漆黒の闇を二分するように、細くまばゆい光が垂直に天から差し込んでいるのを見る。 光の中にはすりきれたマントを羽織った老人が、背を向けて立っている。声をかけようとして近づくと、自分が一歩踏み出す度に光も一歩先へと移動することに気づく。かげろう色のマントをつかもうとして伸ばした指先が空しく宙を切り続ける。 やっとマントの端をつかんだその時、それはするりと老人の肩から落ちて、男の手には湿気を含んだやわらかなガーゼのような抜け殻だけが残されるのだった。

ジョグガンド(Jogugund)はうなされていた。 夜毎自分の存在の心もとなさを感じながら眠りにつくと、決まってどこからともなく何者かがすすり泣く声が聞こえるのだ。ジョグガンドは蛇城に囚われているコーガルグリナ(Korgulglina)のことを思った。 取り返さなくては。なんとしても取り返さなくては……! 夢うつつのままコーガルグリナの手を確かに握ったような気がした。安堵のため息とともに彼女の顔を覗き込むと、オークのお面が真ん中からぱっくりと割れて、幼いはずの彼女の顔はパラフィン紙のような薄い膜に何層にもくるまれたその奥にあるようだった。まるで羊膜を思わせるそれを一枚一枚はいで行くと、奥からしわくちゃの老人の顔が現れた。老人の口元が動き、何をか言おうとしているのを聞き取ろうと身を乗り出すが、何を言っているのかわからないまま、みるみる老人の顔がどす黒く縮んで行き、粉をふいて干からびたようになって行くのを見て、ジョグガンドはあわてて紙をかぶせるのだが、すべては後の祭りなのであった。

ダーシャ(Dasha)はまどろみの中にいた。 いつか見た幸せな夢だ。レイクシャーから程近い妖精の集落は初夏の匂いにあふれ、絶え間なく降り注ぐ木漏れ日の中で、弟や妹たちが妖精たちと戯れながら笑い声をたてている。土の匂いが一瞬強くなった気がして顔を上げると、子どもたちの輪の一番外側にいたはずの小さな弟が、額にうっすらと汗をかきながら、仰向けに眠っている。ダーシャは優しく微笑みながら彼を抱き上げると、彼の呼吸にわずかばかりの異常を感じて足を止めた。 その時であった。足下から大きな振動を感じて彼女はしゃがみこんだ。後頭部に激しい痛みを感じてその場に倒れこんだその時、ふたたび静寂が訪れ、彼女は大きなユーツリーに寄りかかりながらまどろんでいる自分に気づくのであった。 何かがおかしい。さすがに彼女は苛立ちを隠しきれなくなっていた。かってエクソダスによって現代に蘇ったジュカの砦は破壊され、今は廃墟しか残っていないと聞く。そしてミーアの同志は皆同じ悪夢を見たと言うのだ。しかしダーシャには奇妙な白昼夢が繰り返されるだけで、いまだかってそのような夢は訪れない。私はミーアではないのか?

「そうでなければ誰かが私の夢を盗んだのだ。」

思わず口をついて出た言葉にバツが悪そうに辺りを見回してダーシャは首をふった。再び辺りから弟や妹たちが妖精たちと戯れながら笑う声が聞こえてきた。ダーシャは憔悴しきったようにため息をついた。

「これこそ “Nightmare” (悪夢)だわ。」

その時ふと、1000年の間眠らずにミーアの墓守となっていたAdranath(アドラナス)とジュカの要塞で再開した際、彼がもらしていた言葉を思い出した。彼は1000年の間に何が夢で、何が現実かの区別がつかなくなっていたのだ。 まさかアドラナスが……?ダーシャは立ちあがった。


日時:3月22日(木)夜10時より開始 場所:サーペンツ・ホールドのカウンセラーギルド (六分儀座標: 153o 11′S, 115o 44′E) ※二ジェルムEMホールよりゲート設置予定

◆ 平日の定期イベント(毎月第3木曜日、※今回は都合により第4木曜日 夜10時予定)の第7回となります。 ◆ ミッションを受け、自らの足で調査、情報収集を行い、レポートにまとめて提出します。 ◆ イベントチャンネルVSS(#なし) にお入りください。 ◆ 予期せぬ出来事が発生するかも知れません!貴重品はなるべく持ち込まないよう、お願いします。 ◆ 本イベントは階級を定め、貢献度に応じて定期的に団員の表彰を行うポイント制のイベントです。 ◆ 今回はベストレポーターの表彰を行います! ※ 最終選考に残った団員(アルファベット順/敬称略) alianrhod Aimai moko Cesario Chocolate Christina Eleria Happy Hiroaki ILIEL J JUNK K(匿名希望) kottan Lakshata Layla Leaf Lei Lethe Lio Leia Mareni Misto Namida nana nash Rachel S seiran seven II Skills SPARK Tao Tokiwa UO You ZagZag ZARIGANI

*印は前回受賞者