勇島怪奇噺 「呪いの雛人形」

咲耶姫は母の面差しで、皇子の寝顔を見ながら優しく微笑んだ。 自分がここ勇島へ嫁いでひととせ余りで懐妊し、世継ぎの皇子を産むことができたのは誠に喜ばしいことであったが、流行り病や憑き物などいつの世も心配事は絶えることがない。さすれば二人目も皇子をと望む気持ちもなくはなかったが、折しもその日は桃の節句であった。気の優しい勇島の君主である夫の面影を皇子の額に見つけながら、咲耶姫はひとりごちた。

「次は女の子を授かりたいものだのう。」

あれは自分が生まれて何度目の桃の節句のことであっただろう。ともに幼なかったナデシコと二人、代々引き継がれた雛人形をひな壇の上からこっそり持ち出し、挙句の果てに男雛と女雛の首をぽきりと折ってしまったのは。最後にナデシコに会った時の記憶を辿ろうとしたその時、瞼の裏を突きさすような勇島の満開の桜が脳裏をかすめ、咲耶姫は激しいめまいを覚えてその場にくずおれた。勇島の桜は誠島に咲くそれよりも、どういうわけかいくらか血の色を帯びているのである。心配そうに背中をさする侍女の手の感触と、皇子の泣き声に我に返ったとき、咲耶姫は自分の右半身が心なしか熱を帯び、ずきずきと痛みを伴って脈打つのを感じた。 咲耶姫ははじかれたように立ち上がると、侍女たちに両脇を支えられながら居城の隅にしつらえられた蔵へと向かった。ならぬ、このようなことは絶対にあってはならぬ。どうしようもない胸騒ぎを感じながら、しかし予感が的中することを、咲耶姫は疑ってはいないのであった。


日時:3月10日(土)夜9時開始

集合場所:勇島西側の石庭付近 (六分儀座標: 60o 23'N, 18o 54'W ) ※ 当日イベント開始前にニュジェルムEMホールより送迎ゲートを設置します。 ニュジェルムEMホールへはブリ第1銀行西側の直通ゲートをご利用ください。

◆ イベントチャンネル Tamchannel(シャープなし)にお入りください。 ◆ 戦闘準備のうえ、お越しください。なるべく貴重品は持ち込まないよう、お願いいたします。 ◆ ラグ軽減のためイベント会場は途中で2か所に分かれます。 会場移動をご希望の方は、自己責任において自力で行ってください。 ◆ 以下に該当の場合、あるいはEMが問題ありと判断した場合はコールのうえ、   イベント中止の措置を取らせていただく場合があります。   - イベント進行の妨害、かく乱行為。   - EM、あるいはほかのプレーヤーに対する侮辱的発言、またはそれに準ずる行為。 ◆ 皆さんのイベントです。マナーを守って楽しく参加しましょう!   プレーヤーの皆さまのご協力をお願いいたします。