勇島の桜

ナデシコに託した桜は無事届いたであろうか?

ひと月ほど前のことになるが、既に六か月の身重であった咲耶姫は、遠いブリタニアの地で崩御したという 女王の墓参りに是が非でも行きたいと申し出て、夫である皇帝と船旅を案じた医者にきつく止められた。 咲耶姫が腹立ちまぎれに手元にあった扇子を鴨居に投げつけると、古い欄間はきしんだ音を立てて わずかに開いた。 隣室に控えている侍女が、身を固くする気配が伝わってくる。

そうじゃ。墓所に桜の苗木を届けさせよう。

政情不安はブリタニアに限ったことではない。ここ勇島でも皇帝をはじめ、宮廷の者はほとんど出払ってしまい、 残っているのは年寄りと、年端もいかぬ若い女たちばかりであった。その時ふと、咲耶姫の脳裏に幼少のころの ナデシコの気の強そうな横顔が浮かんだ。 ナデシコの出生の秘密を知る者は今は少なくなったが、さりとていつ「封印」が解けるかは定かではない。 だが、仕方があるまい。咲耶姫は居住まいをただし、あらゆる感情を振り払うかのように、手を二度強く打ち鳴らして 侍女を呼んだ。

果たして母親とともに宮廷に馳せ参じたナデシコは、咲耶姫の依頼をいぶかしげに聞いていた。 母親に至っては腰を抜かさんばかりに驚いて、傍らで口をパクパクさせるばかりであった。 「いかにも私がナデシコでございますが、何ゆえ私にこのような大役を?」 咲耶姫は大輪の牡丹の花のようににっこりと微笑み、人手不足のことなどおくびにも出さずに言ってのけた。 「案ずるでない、ナデシコよ。そなたを見込んでのことじゃ。」 しかし、こう釘を刺すことも忘れなかった。 「桜の苗木はとりわけ病害虫には弱いもの。ブリタニアの気候は勇島よりいささか乾燥しているとも聞き及んで いるゆえ、世話を怠ってはならぬぞ。そうじゃ、はじめての船旅は心細かろうから、タケルを供につけるがよい。」

便りが無いのは良い知らせであろう。旅姿のナデシコを見送った春うららかな日のことを思いだしながら、 咲耶姫の口の端に笑みがこぼれた。


日時:4月10日(日)夜9時スタート 場所:Yew ドーン女王の墓碑前(六分儀座標74o 11N’ 52o 6′W) 注意事項: ◆ イベントチャットチャンネル#Tamchannelにお入りください。 ◆ 当日は戦闘準備のうえお越しください。 ◆ 貴重品はなるべく持ち込まないよう、お願いいたします。 ◆ 当日はラグ軽減のため、会場を2か所に分けてイベントを行います。 ※イベント中の会場の移動は自由です。自己責任でお願いいたします。 ◆ イベント終了後にささやかながらお花見を予定しています。お時間のある方はぜひどうぞ! お団子もあるよ!

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