魔法使いドリウス・ドースト(Dryus Doost)は深くため息をつくと、報告に訪れた若い弟子にもう行ってよい、というふうに手をひらひらさせた。
メイジ評議会はかの王がトランメル・ファセットを作ったときに、王とその派閥と袂を分かった経緯があるが、名誉のムーンゲートが使用不能になってからというもの不満分子たちの動きがにわかにきな臭くなってきたようである。いつものようにムーングロウのはずれの魔法屋で秘薬を買い込み、なじみのメイジとひとしきり談笑して店を出ると、見慣れない釣り人が釣り糸を垂れながら油断なくドーストを監視していたことに気付いてドーストは小さく舌打ちをした。
2、3日前のことだ。その日の総会はいつもと少し様子が違っていた。いつもなら居眠りを決め込む老メイジが、白熱する議論にまさに口角泡を飛ばしているのをドーストは冷ややかに見つめていた。
「我がメイジ評議会に受け継がれた知識とすべての資源を動員させ、何者にも先んじて名誉のムーンゲートを修復できれば、ムーンゲートがつなぐすべての地に我々の名を知らしめることができましょう!」
「現代の魔術だけではあのムーンゲートの修復は不可能でしょう。より強力と言われる古のブリタニアン・スペルを復活させる時が来たようですな。」
「ドースト先生、いかがですかな?」
ドーストは我に返ると、声の主である自分といくらも年の違わない老メイジを見つめ、静かに口を開いた。
「その通り、古の魔術の復活は不可避であろう。が、しかしそれを使いこなすには類まれなる魔術のセンスと卓抜したスキルがなくてはならない。私が知る限りではそのような魔法使いは現代のブリタニアには存在しない。それに……。」
老メイジがわずかに気色ばんだのを見て、ドーストは呼吸を整えるように深く息を吸い込んで一気に続けた。
「ムーンゲートを制する者はエセリアル虚空間をも含めたソーサリアのすべてを手中にすると言っても過言ではない。生半可な魔術の知識で事にあたるのはもとより、ムーンゲートの結晶構造のバランスに干渉するようなことになれば、ソーサリア全土に取り返しのつかない甚大な被害を及ぼすことにもなりかねない。」
一座のしらけたような空気にドーストはわずかに後悔の念にかられたが、ムーンゲートの研究を通じてこのソーサリアには人智の及ばない領域があることを、彼は誰よりも理解しているつもりだった。
弟子を追い返してひらひらさせていた手を止めると、ドーストは本棚の隅の埃をかぶったワンドに気付いて手に取った。ブリタニアン・スペルを操ってダンジョンを駆け回った若き日のことを思い出してでもいたのであろうか、ドーストの口角がわずかに上がったように見えた。そうだ、このまま老人どもに独占させておくよりはよっぽどいい。
「ああ、言い忘れたよ!」
師ドーストの気まぐれはいつものことながら、銀蛇自警団の団員はわずかに残ったドアと壁の隙間から、油断なく師の様子をうかがった。ドーストは嬉々として声を張りあげた。
「皆を集めなさい。お前たちにブリタニアン・スペルを教えよう。」
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※ 銀蛇自警団の団員の皆さんは、魔法使いドリウス・ドーストの主催する特別クラスへの招待を受けています。 当日までに以下の課題に挑戦してみてください。
問題) 以下に述べる呪文音節、ブリタニアン・スペル、思い思いの単語を自由に組み合わせて呪文を完成させなさい。 また、作成した呪文の効用を述べなさい。
∽ 呪文音節 ∽
音節(Syllable)/ 意味(Meaning)
An / 無効化(negate)
Bet / 小さい(small)
Corp / 死(death)
Des / 低下(lower/down)
Ex / 開放(freedom)
Flam / 炎(flame)
Grav / エネルギー、フィールド(energy/field)
Hur / 風(wind)
In / 発生、創造、原因(make/create/cause)
Jux / 危険、罠、害(danger/trap/harm)
Kal / 召喚、起動(invoke)
Lor / 光(light)
Mani / 生命(life)
Nox / 毒(poison)
Ort / 魔術(magic)
Por / 動き(movement)
Quas / 幻覚(illusion)
Rel / 変化(change)
Sanct / 防護(protection)
Tym / 時(time)
Uus / 上昇(up)
Vas / 大きい(great)
Wis / 知識(knowledge)
Xen / 生物(creature)
Ylem / 物質(matter)
Zu / 眠り(sleep)
参考文献: Ultima Wiki
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日時:8月23日(木)夜10時より開始 場所:今回はニュジェルムのEMホール、およびサーペンツ・ホールドのカウンセラーギルドよりトランメルのガード圏内のイベント会場(予定)までゲートを設置いたします。
◆ 平日の定期イベント(毎月第3木曜日、今回は都合により第4木曜日)の第11回となります。 ◆ ミッションを受け、自らの足で調査、情報収集を行い、レポートにまとめて提出します。 ◆ イベントチャンネルVSS(#なし) にお入りください。 ◆ 戦闘準備の上、お越しください。 ◆ 予期せぬ出来事が発生するかも知れません!貴重品はなるべく持ち込まないよう、お願いします。 ◆ 本イベントは階級を定め、貢献度に応じて定期的に団員の表彰を行うポイント制のイベントです。 ◆ 以下に該当の場合、あるいはEMが問題ありと判断した場合はコールのうえ、 イベント中止の措置を取らせていただく場合があります。 - イベント進行の妨害、かく乱行為。 - EM、あるいはほかのプレーヤーに対する侮辱的発言、またはそれに準ずる行為。 ◆ 皆さんのイベントです。マナーを守って楽しく参加しましょう!