銀蛇自警団番外編「銀鼠自警団のバレンタイン」

親愛なるパトリシア

僕がブリテインの街でロイヤル・ガードに志願するため、生まれ故郷のムーングロウを離れてどれくらいの月日が経ったことだろう。やんちゃばかりしていた君の甥っ子や姪っ子たちも、今はさぞや立派な若者に成長し、君や君の兄上夫婦やご両親を安心させていることと思う。
もうすぐ寒くなるけれど、風邪をひかないように注意しておくれ。
僕は相変わらず忙しくしているよ。暴徒たちの取り締まりも一段落したし、次はブリテインの地下水路の調査隊に同行してロストランドへつながる出口の警備にあたる予定だ。少々危険な任務だけれど心配いらない。ここで実績を積めば調査任務の特技兵として認められるだろう。
もうすぐ帰れるよ。愛してる。

ロイヤル・ガード上等兵
~ローランドより

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愛するローランド

慣れない土地での任務はきっと大変なことでしょう。あなたがロード・ブラックソーンの戴冠式にも帰ってこれないことを知ったときは、サー・ジョフリーをどんなにか恨んだことか!けれどロイヤル・ガードであるあなたを、私は誰よりも誇りに思っているのよ。
ムーングロウの街も平穏を取り戻しつつあります。あなたに憧れて兵隊ごっこをしていたジムももう18歳。お転婆娘のネリーはこの間ボーイフレンドを連れて来たのよ!カールしたブロンドの髪と青い瞳が優しげなハンサムで、あなたに似てるって母がさかんに言うの。
こちらはみんな元気よ。何も心配ないわ。
早く帰って来て。

あなたのパトリシア

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親愛なるパトリシア

しばらく連絡がないけど体はだいじょうぶかい?
君に真っ先にこのニュースを伝えるよ。今度僕はロイヤル・ガード特別部隊の指揮官として、ロード・ブラックソーン城に赴任することになりそうだ。君に会えるよ!
長いこと待たせてすまなかった。あの約束を覚えているかい?バレンタインまでには必ず帰る。 結婚しよう。

ロイヤル・ガード指揮官
~ローランドより

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サー・ジョフリーは大きくため息をつくと “ロイヤル・ガード特別部隊 指揮官候補” と書かれた書類にこれみよがしに大きなバツをつけ、机の上のひときわ高い山のてっぺんに投げるようにそれを振り分けた。元来野育ちの粗野な男を自負している。日がな一日机の前に座って履歴書に目を通す作業など、拷問以外の何ものでもなかった。遠慮がちなノックの音に気付いた時にはやおら立ち上がり、使い込んだハルバードを振り回していたのだが、いかにも手入れでもしていたというふうにそれを片手に持ち替え、サー・ジョフリーはドアに向かってできるだけ落ちついた声で答えた。

「入りたまえ。」

「失礼します、サー!本日分の郵便物をお持ちいたしました。」

サー・ジョフリーは履歴書の山を見て軽いめまいを覚えたが、人手不足のロイヤル・ガードにあって特別部隊の指揮官の任命は急務であった。気を取り直して机の前に座ったその時、崩れた山の中に差出人のない小さな小包が紛れ込んでいるのを発見して、サー・ジョフリーは思わず手を伸ばした。宛先は自分ではなく、ロイヤル・ガード特別部隊 指揮官ローランド・ミルズとあった。

ロイヤル・ガード特別部隊 “銀蛇自警団” の指揮官のポストが空席であることはもとより、そのような者は聞いたことがなかった。サー・ジョフリーは怪訝そうな表情を浮かべたものの、山と積まれた書類に向き直ると瞬く間に机の隅に追いやったみすぼらしい小包のことなど忘れてしまった。いぶかしげに小包を見つめるふたつの瞳だけが、ねずみの穴の中でいつまでもキラキラと光っていた。

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日時: 2月9日(土)夜9時より開始
場所: ブリテイン第1銀行前にご集合ください。

◆ 毎月第3木曜日実施の平日の定期イベント(現在休止中)の番外編となります。
◆ 今回はレポートの提出は不要です。団員以外の方もお気軽にご参加ください。
◆ イベントチャンネルVSS(#なし)にお入りください。
◆ 街中での調査イベントとなります。戦闘準備は特に必要ありませんが、何らかの移動手段(移動魔法)がある方が望ましいでしょう。
◆ 予期せぬ出来事が発生するかも知れません!貴重品はなるべく持ち込まないよう、お願いします。
◆ 以下に該当の場合、あるいはEMが問題ありと判断した場合はコールのうえ、
  イベント中止の措置を取らせていただく場合があります。
  - イベント進行の妨害、かく乱行為。
  - EM、あるいはほかのプレーヤーに対する侮辱的発言、またはそれに準ずる行為。
◆ 皆さんのイベントです。マナーを守って楽しく参加しましょう!