~Cascaによる冒頭陳述 -リカルド裁判の傍聴記録より
「陪審員の紳士淑女の皆様、まず私はリアンという名前の少女についてお話します。 少女は優しく、親切で、徳に溢れ、人々にとても愛されておりました。 しかしある朝、この幸せは粉々に打ち砕けました。一瞬にして彼女の愛するものは全て引き裂かれてしまったのです。 紳士淑女の皆様、リアンはブリタニア領地であるロストランドはパプア、先のオフィディアン戦争において最も先に戦場となった町に住んでいたのです。 軍勢はパプアの微小な守りをまもなく蹂躙し、我々の地へとその歩みを進めました。 リアンは父親を目の前で殺され、耐え難い悲しみに襲われました。しかし、どうにかこの大虐殺から一時の間、逃れることはできました。 その代わり、この脅えた子供は暗いセラーの奥で樽と樽に挟まれてできるだけ身を潜め縮こまっていなければなりませんでした。 孤独で、絶望に打ちひしがれ、涙も枯れ、血と汗にまみれ可哀想な 少女は隠れ続けたのです……。 陪審員の皆様、この描写をお許しください。 私がお伝えしたいのは、この幼子は頭上で死にゆく者たちの叫び声がこだまする中、暗闇で耐え続けたということなのです。 彼女がセラーに隠れ無事でいることができたならどんなに良かったことでしょう。 オフィディアン達がこの虐殺に満足し、自分たちの住居へと戻ったとお伝えすることができたならどんなに良かったでしょう。 しかし私はそうお伝えすることができません。 オフィディアン達は老若男女、子供に至るまで慈悲の心もなく狩り続けたのです。 リアンも例外ではありませんでした……。 リアンは魔物たちによって殺されたのです。しかし彼女はある男によって殺されたとも言う事ができます。 その男は傲慢で厚かましく、愚かしくも自分の富のためにあれほどまでにオフィディアン達の怒りを我々にもたらしました。 その男は我々に迫った危険を知らせることなく、のうのうと逃げおおせました。 紳士淑女の皆様、そこに座る男こそがその男であります!」
(暗転)
ブリタニアの桜の蕾もほころびかけたあるうららかな春の午後、デンス卿はサンチョを伴い、冒険の旅を続けていました。
「サンチョよ。これがかのリカルドの公判が行われたユーの裁判所だ。裏手にあるのは彼が収監されたブリタニア随一の監獄であるぞ。」
へえ、とサンチョは感心したように灰色の壁を見上げますが、どうにも先ほどから後をつけられているような気がしてなりません。そんなサンチョの様子に気づいた様子もなく、デンス卿は続けます。
「いいかねサンチョ。あの裁判はまったくの茶番だったのだ。異種族を殺戮してその棺桶をあさるなど、ヒューマン、エルフ、ガーゴイルの輩は当たり前のようにやっているではないか。リカルドがオフィディアン族の宝を盗んだとて、それはブリタニアの法の及ぶ範囲ではない。もっと大いなる陰謀が隠されていたのだ。そうは思わんかね?」
「そりゃあ、旦那様がそうおっしゃるんですからそうでしょうよ。」
サンチョは背後に迫る不気味な影を一瞬忘れて、いつもの作り笑顔で答えます。
「その後レプリカを返還して和平条約を締結したはずが、オフィディアンたちは再びパプアを侵攻した。まったくもって許しがたい。」
「そりゃあ、旦那様。レプリカって言ったって所詮偽物ですからねえ。最初から正直に話せばいいものを、あっしがオフィディアンだったらやっぱり怒りますわね。」
サンチョはどこからか聞きかじった知識を得意げに披露します。デンス卿はやれやれ、といった様子で頭を左右に振りました。
「これだからお前は想像力が足りんと言うのだ。許しがたいのはオフィディアンではなく、そんな茶番で民衆をも欺こうとした時の統治評議会だ。やつらにしてみればリカルドなんぞ都合のいい捨て駒に過ぎん。」
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どこからか猫の鳴き声が聞こえたような気がしました。不意に立ち止まった二人は、そのまま足元をすくわれたかのように暗い奈落の底へと落ちて行ったのでした。
(暗転)
「なんだい。またやっちまったのかい。」
語り部のBettyは足元で一心不乱にローブの裾を弄ぶ黒猫を愛おしげに見つめます。
「やれやれ。あとは冒険者の皆さんにお任せするしかないねえ。」
そう言ってBettyが開いた膝の上のデンス卿の冒険日誌からは、書かれた文字が砂のようにさらさら落ちて、白いページだけが残ったのでした。
日時: 4月22日(土)22時~ 集合場所: デンス卿は過去のブリタニアに転送された模様です。皆さまもニュジェルムEMホール前のタイムトンネルを通ってお越しください。
◆ チャットチャンネルTamchannelにお入りください。 ◆ 戦闘準備の上、お越しください。 ◆ ロールプレイキャラクターの周囲は開けておいてくださいますよう、ご協力をお願い致します。 ◆ 予期せぬ出来事が発生するかも知れません!貴重品はなるべく持ち込まないよう、お願いします。 ◆ 以下に該当の場合、あるいはEMが問題ありと判断した場合はコールのうえ、 イベント中止の措置を取らせていただく場合があります。 - イベント進行の妨害、かく乱行為。 - EM、あるいはほかのプレーヤーに対する侮辱的発言、またはそれに準ずる行為。 ◆ 皆さまのイベントです。マナーを守って楽しく参加しましょう!