第2回 銀蛇自警団出動指令

ファントム卿と呼ばれた男はグラスの底に残った琥珀色のバーボンを一気に飲み干すと小さく唸った。

「いや、うまい。実にうまい。」

銀蛇自警団発足の日、サーペンツ・ホールドに大量発生したオーク・ブルートを殲滅し、意気揚揚と引き上げてきた団員たちは、思い思いに戦利品を分け合い、サーペンツの小さな町はにわかにマーケットのような様相を呈したのであった。とりわけ質の良い酵母が大量に手に入ったとみえて、早速バーボンを樽で仕込み、彼に差し出す団員もいたほどであった。 城塞都市サーペンツ・ホールドはその昔重要な軍事拠点であったばかりでなく、ブリタニア大陸の外周に位置しており、今や各地を巡る商船にとっても欠かせない中継地点であった。しかし一方でムーンゲートも存在しない孤島は、闇の世界で暗躍する者たちにとっても格好の条件を満たしているようであった。

やはり、ロストランドか?

男はふと思いついたようにグラスをテーブルに置くと、居眠りをしている宿屋の主人には声をかけずに部屋を出て裏の港に向かった。男は港の手前で黒い海面に点々と映るオレンジ色のたいまつの灯りに気付くと素早く物影に身を隠した。時刻は午前2時をとうに廻っていたが、暗闇に目が慣れるにつれ、男はそこに旧式の小型船と、慌しく荷物の上げ下ろしをするオーク・ブルートたちの輪郭を捉えた。そしてそれはロストランドへ通じるFire Caveの出入り口付近まで続いているのだった。

「も…申し訳ございません!」

突如悲痛な叫び声が暗闇の中を切り裂き、1人のオーク・ブルートが転がるようにFire Caveの入り口から出て来た。オーク・ブルートの前には、黒いフーデッド・シュラウドを身に付けた男が、彼よりもはるかに大きな体躯のオーク・ブルートが身をちぢこませて足元にうずくまるのを無表情にじっと見つめていた。

「お前は確かにオーク・ブルートたちを連れて来たと言うのだな?」

「はい…、それはもう、間違いなくさようでございます…。しかしどうしたことか突然現われた戦士や魔法使いの大群に襲われ、たちまちのうちに貴重な酵母やインゴットを奪われたのでございます!…本当です!」

「まあ良い。では次の木曜日までにオーク・ブルートを100体連れて来るように…。失敗は許されんぞ。」

「ありがとうございます!…ありがとうございます!」

あわれなオーク・ブルートは、泣きだしそうな顔をさらにゆがめながら立ちあがると、足早に洞窟の中へと戻って行った。


日時:9月15日(木)夜10時より開始 場所:サーペンツ・ホールドのカウンセラーギルド (六分儀座標: 153o 11′S, 115o 44′E) ※二ジェルムEMホールよりゲート設置予定

◆ 平日の定期イベント(毎月第3木曜日、夜10時予定)の第2回となります。 ◆ ミッションを受け、自らの足で調査、情報収集を行い、レポートにまとめて提出します。 ◆ イベントチャンネルTamchannel(#なし) にお入りください。 ◆ 予期せぬ出来事が発生するかも知れません!貴重品はなるべく持ち込まないよう、お願いします。

* 本イベントは階級を定め、貢献度に応じて定期的に隊員の表彰を行うポイント制のイベントです。詳しくはメニュー“銀蛇自警団イベント”をご覧ください。