ニューマジンシアの二つの花

サー・ファントムはオーフラーの最初の開花期を迎え、黄色く染まったニューマジンシアのブラックロック集積場跡に佇んでいた。
可憐な外見に似合わず、その花は呼吸するたびに、知ってか知らずか自らを犠牲にしてあらゆる毒素を吸収し続けているのだ。毒は決して消えることはないのであろうか?やがて浄化されて大気中へ、あるいは地中深くに別の何かになって還って行くのだろうか。
黄色い花が、自らの命を顧みず巨大な敵に挑んだ華奢なエルフの女に一瞬重なって見えた。

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親愛なるブラックソーン国王陛下

ニューマジンシアへ調査団、および援軍を差し向けてくださったことに、改めて感謝申し上げます。
演習と称したBE/BG部隊による侵攻は、多くの勇敢なる市民の働きによって住民への被害を水際で食い止めることができたものの、極めて厳しい戦いであったこと、ブラックロック汚染に対する不安が完全に払拭されたわけではないことも、併せてご報告せねばなりません。現在、かの地のブラックロックは一部何者かによって持ち去られた痕跡があるものの、大部分は地中に吸収されるかのように収縮して行っているのです。植物学者のサイモン氏は、我が銀蛇自警団団員の依頼を受け、既にオーフラーを一部採取して生体中のブラックロック様物質の含有量を調査中です。
演習終了の確約を求めるため、アリエナイ・ヘイブン社の保有する製造工場へ潜入したと思しきニューマジンシア首長についても、多くの市民から行方を心配する声が聞かれます。首長救出のためにも一刻も早く工場の在りかをつきとめ、運搬経路も含めて壊滅させることが急務であります。
ここに調査団として共に戦った有志の報告書と嘆願書の写しを同封し、ご報告とともに国王陛下の引き続きのご支援と、ニューマジンシア首長への寛大なる措置をお願するものであります。

~ Sir Phantom


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